2020.6.5

ポラスグループ・中央グリーン開発、植栽のワークショップを「Zoom」で開催

住民交流の新たなツールとして注目も

オンラインで住民交流——。ポラスグループの中央グリーン開発はビデオ会議ツールを使ったワークショップを開いた。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が続く中、住民間のコミュニケーション維持の提案を模索する。

「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」の街並み

オンラインでの住民交流は、同社が分譲した埼玉県越谷市の「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」(全64棟)で行われた。ここでは住まい手も家づくりに参加してもらうおうと、住宅引き渡し後、自ら植栽してもらうため、門柱下などにスペースを空けている。その後、同社が開くワークショップを通じて、住まい手に植栽のやり方などを伝授していく。ワークショップには複数の住まい手が集まるため、分譲地内の住民同士のコミュニケーションの場としても活用されている。

ワークショップは、これまでに2回実施。約20世帯がワークショップに参加している。3回目をこの春に予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大による、「3密」の防止などから、これまでの方法によるワークショップは中止を余儀なくされた。同社は対面を防ぎながら、植栽のワークショップと、そこに参加する世帯同士での交流を図ることができないかを模索。そこで目を付けたのがビデオ会議ツール「Zoom」だ。コロナ禍で在宅勤務する人が増えるにつれ、こうしたビデオ会議ツールに関心を持つ人も増えている。同社は、今回ワークショップの対象となる住まい手に、Zoomでの入居者交流会の開催を告知したところ、10世帯前後が参加した。

植栽のやりかたなどを説明する講師を同社担当者が撮影する

オンライン活用による入居者交流会は5月17日午前10時から始まった。分譲地内にある自治会館「みずべのアトリエ」で、同社担当者が会議を進行。担当者のパソコンの画面上は入居者交流会に参加する、住まい手の顔で、すぐさまいっぱいに。参加住民一人一人が、オンライン上で自己紹介し、それぞれあいさつが終わるたびに、参加者みんなが拍手する。自己紹介では、家族構成の話や、最近自身がはまっている家庭菜園など様々。他の参加者の話を、興味深く聞いている様子が、パソコンやスマホ画面で共有され、それぞれ別の場所にいながらも一体感が生まれていた。

オンラインでの住民交流会には多数入居者が参加

自己紹介が終わると、植栽のワークショップが始まった。担当者のパソコンの画面には植栽のやり方を教える講師が登場。分譲地内の住宅で、実際に植栽をするために空いているスペースを使って、土の耕し方から、植え方まで丁寧に解説。同社担当者はタブレット端末を手に持ち、この様子を撮影する。この撮影動画は、すぐにZoomに共有され、参加者は自宅などにいながら、植栽の仕方などを学んだ。講習の時間は10分程度。一通り説明が終わると、参加者からZoomで質問が寄せられ、それに講師が即座に回答する。対面と変わらないやり取りが、オンライン上で繰り広げられていた。

場所を選ばず住民が交流

パソコンやスマホの画面上で植栽のやり方などを説明する講師

この日は天候に恵まれ、真夏日に迫る暑さだったが、オンラインでのワークショップが終了するとすぐさま、複数の参加者が自宅から出てきて、植栽を始めた。植栽する鉢花などは同社が用意し、玄関わきなどに置かれていた。夫妻で門柱下の空いたスペースで、植栽をはじめた住まい手は、「とても分かりやすかった。集会場など複数の人が集まるワークショップだと、細かい作業が見えなかったりするが、オンラインだと、手元までしっかり画面上で確認できる」と話していた。小さな子どもと、土を耕していた女性は、「子どもが騒いでも、周りの人に気を遣うことがないため、落ち着いて、ワークショップに参加できた」と評価する。住み始めて1年ぐらいの住まい手は、「ご近所に住む方と知り合うことができ、とても良かった」と話した。

ワークショップ終了後、すぐに植栽に取り組む入居者の姿も

オンラインによる入居者交流会は今回が初めて。同社担当者は「対面での交流会同様に盛り上がった。別の場所から、この交流会に参加してくれた方もおり、場所を選ばないという、オンラインの利点が現れた」と感触をつかむ。