エネルギーとエコハウスの変化は突然のように起きる

ドイツは1995年時点での再生可能エネルギーの比率は全体のわずか3%だった。現在は35%を超え、2050年には80%を目指している。なぜ急激に変化したのか。大きくは2つ。ひとつは太陽光発電が急激に安価になったこと、もうひとつはドイツの仕組みが効を奏したこと。最初のFIT(固定価格買取制度)の導入から、FIP(プレミアム価格)の導入まで、首尾一貫して省エネや創エネを支える仕組みができているのである。今のドイツでは、電気市場にできるだけ高く売ろうとするバーチャル発電所というエージェントがいて、円滑かつ平準化をする仕組みがある。これに加えて各地で建物の断熱化が進み、そもそも使うエネルギーを減らしていることも大きく影響している。いわば、すべての出来事が省エネルギーと創エネルギーの両方に絡んでいる。そうすることが産業を生み、育て、トータルとして富を蓄積させていくことがわかっている。まさに、革命が進んでいると言える。

一方、日本ではこの辺がだいぶおぼつかない。省エネや創エネが富を生むきっかけになると思えていない。むしろ省エネは経済を停滞させる元凶となると思っているような節さえある。建築に関して言えば、建築物理(バウフィジックス)という分野で、コンピュータによるシミュレーション技術が発達し次々と新しい技術が投入、日進月歩で進んでいく。まずはそのことを直視し、認めるところから始めなくてはならない。コンピュータや自動車を取り巻く技術が加速度的に発達している一方で、建築だけが変わらないということも考えにくい。見た目に変わらないためわかりづらいが、温熱環境や断熱性能も日々変わっていっているのである。エネルギーの作られ方も大きく変わっている。大きな発電所やインフラが必要だった既存の仕組みとは違い、小規模な地域分散型で一気に広まっている。ちょうど携帯電話が電線などのインフラを必要としないという状況に似ている。そうやって、社会のあり方自体も変化しているのである。

リヒテンバッハ:ドイツの町で再生可能エネルギー700%を超えるところもある

日本では少子高齢化が問題となっているが、その処方箋はうまく書けていない。しかし、このエネルギーをめぐる問題はひとつのヒントを与えてくれる。つまり、エネルギーとエコハウスあるいはエコタウンを考えることで、外部経済への依存型から内部循環型へと変化を促し、社会の体質を変えることができる。振り返ると日本の森林率は67%を超え(世界第3位)、大きく育ち建材に使える状態になっている。これらを製材し、半分は家に使う。そして、製材の過程で出た端材をエネルギーとして使う。輸入に頼っているエネルギーを再生可能エネルギーに置き換えるだけで、少なくとも日本からの経済流出(キャッシュアウト)が減っていく。もともと東西ドイツが合併した時、産業のない東独エリアは、この方法で復活してきたとのことだ。先人に学ぶべきであろう。

レコードからCDへ、ガラケーからスマホへ、ガソリン車からハイブリッド、電気自動車へ、がたがたいっていた木製の建具が気密のとれたアルミサッシへ変化は割とあっさり時間をかけないで行われる。後者が圧倒的に有利だからだ。家の変化も同様である。さして高度な技術ではない。すぐに取り入れられるはずのものなので突然、変化し始めるのである。

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パンデミック後の住産業

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特に緊急事態宣言下で、仕事や暮らしが一定の制限を受け、社会そのものが大きく変わらざるを得ない状況が続いている。
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パンデミックで何が変わり、何が変わらないのか。
この一年の変化と、これからを探った。

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