塗り変わる市場地図

住宅部資材 性能、機能、デザインで競争が激化

住宅の姿が大きく変わりつつある。
社会的なニーズの変化、ユーザーニーズの多様化・個性化のなかで耐久性や断熱性、防災性などの性能が急速に向上し、快適性や利便性などの機能が高まる。
デザインもトレンドや嗜好の変化を反映し多種多様に広がっている。
こうしたなかで住宅部資材も一昔前とは大きく様変わりしつつあり、同時に業界地図も変化し続けている。
今、住宅部資材業界で何が起こっているのか──。

【構造材】プレカットの普及に伴い集成材需要が増加 住宅高性能化を背景に耐力面材も伸長

プレカットの普及に伴い集成材需要が増加住宅高性能化を背景に耐力面材も伸長ここ10年で住宅構造材の分野で、プレカット材の普及が進み、その加工原料として、寸法安定性に優れた集成材の需要が大幅に伸びた。また、簡単な施工で均一な性能を確保しやすいことから、筋かいから構造用合板などの耐力面材へのシフトも進んでいる。


集成材は、一定の寸法に加工されたひき板(ラミナ)を複数、繊維方向が平行になるよう集成密着した木材製品。狂い、反り、割れなどが起こりにくく強度も安定していることから、プレカット材の普及を背景に住宅の柱、梁および土台にも利用が広がっている。

日本集成材工業協同組合(日集協)がまとめた国内での集成材の生産量によると、06年以降、168万立方メートルから減少傾向で推移したが、住宅着工の回復などを受けて、10年以降は増加傾向に転じ、146万立方メートルから17年には169万立方メートルにまで伸長している。
集成材の輸入量についても08年以降、増加傾向が続いており、17年で98万立方メートルとなっている。

17年の集成材の生産量を品目別に見ると、造作用が12万立方メートル、構造用が157万立方メートルとなっており、構造用が大部分を占めている。

構造用集成材の輸入量は87万立方メートルで、消費量に占める輸入量の割合は36%となっている。構造用集成材の主な輸入先国及び輸入量は、フィンランド(35万立方メートル)、ルーマニア(18万立方メートル)、オーストリア(12万立方メートル)などが続く。

(一社)日本木造住宅産業協会がまとめた、17年度の戸建住宅完工実績調査を見ると、近年、構造材として製材から集成材へとシフトが進んでいることが分かる。

住宅供給会社、プレカット会社に、それぞれ部位別の集成材比率を聞いた調査によると、住宅供給会社では、製材が32.0%で07年度の61.1%から29.1ポイント減少、集成材は63.9%で07年度の37.1%から26.8ポイント増加している。

プレカット会社では集成材へのシフトがより顕著で、製材は33.7%で、調査を開始した11年度の67.2%と比べて33.5ポイント減少、集成材は63.7%で、11年度の32.2%と比べて31.5ポイント増加している。

部位別で見るとプレカット加工の多い管柱(住宅供給会社:83.6%、プレカット会社:82.0%)、通し柱(住宅供給会社:90.4%、プレカット会社:75.6%)、横架材(住宅供給会社:90.8%、プレカット会社:73.1%)で集成材比率が高い。

人工乾燥した製材も健闘
建築用の乾燥材割合は5割に

ただし、プレカットの普及とともに集成材の需要が伸びる一方で、乾燥技術の向上や乾燥施設の整備などにより、構造材として、人工乾燥した製材(KD材)の需要も踏みとどまっているというデータもある。


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