2020.2.21

(一社)日本建材・住宅設備産業協会、IoT住宅の安全規格の開発など業界一丸で新市場の環境整備

規制改革に向けた市場調査、提言活動も

(一社)日本建材・住宅設備産業協会(会長:道浦正治・パナソニックライフソリューションズ社社長)は、日本の主要な建材・設備メーカーとその関連団体などで構成(2019年10月時点で企業正会員52社、団体正会員39団体、企業賛助会員8社、団体賛助会員17団体)され、業界の発展に向け、経済産業省、国土交通省、環境省など関係省庁と連携し、様々な活動を行っている。

建産協の髙松事務局長は「リフォームによる効果などを分かりやすく解説したツールなどを充実させ、潜在的に眠っているリフォーム需要を掘り起こしていきたい」と話す

重点事業の一つとして取り組むのが、IoT住宅用の新しい建材、設備の機能安全規格の開発だ。国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同で2019年度から3カ年の経済産業省からの受託事業として「IoT住宅普及に向けた住宅設備機器連携の機能安全に関する国際標準化及び普及基盤構築」に取り組む。現状では、設備機器の個別の安全性は担保されていても、それらをネットワーク化したうえで安全に作動させる指針がない。そこで、日本提案の機能安全規格「IEC63168」を国際標準規格化することを目指している。このIEC63168の実現により、ユーザーにとっては、「居住リスク低減」、製造者にとっては「説明責任の保証」、サービス提供者にとっては、「ビジネスリスク低減」が期待できる。これにより「IoT住宅市場への新規参入がしやすくなる」といった効果も期待される。

また、ユーザーの誤作動や誤使用、機器の性能限界などによるハザードを未然に防止するための安全規格「IoT住宅版SOTIF規格」の開発にも取り組んでいる。

ZEH推進、リフォーム拡大へ
需要喚起するツールを充実

重点事業として、ZEH普及促進事業やリフォーム推進事業なども推進している。2019年度に、中小工務店向けにZEHのつくり方を分かりやすく解説したセミナーテキスト「ZEHのつくり方」の改訂を行い、提携団体が開催するセミナーへの支援を行った。

さらに、最新の住宅設備に更新することで、住宅の燃費がどのように高まるのかをエンドユーザー向けに分かりやすく示した「住宅の燃費」も改訂。住まい全体の燃費性能だけでなく、壁や内窓といった部位、建材別や、エアコン、高断熱浴槽といった住宅設備ごとに最新設備に入れ替えるとどのくらいの省エネ効果が期待できるのかも数値化。加えて、エンドユーザーにより関心を持ってもらいやすいように断熱リフォームと健康の関係性についても、エビデンスに基づき示している。

近年、規制改革に向けた市場調査と提言活動にも力を入れている。「長期優良化リフォーム事業」や「介護保険による住宅改修」、「ZEH関連事業」など、国が実施する支援制度の認知度、利用状況について、工務店などに対してアンケートを行った。それによると、支援制度によっては「知っていたが提案しなかった」という回答も多く、十分に活用されていない実態も浮かび上がった。建産協の髙松郁夫事務局長は「工務店にヒアリングすると、『申請手続きが大変』といった声も聞かれた。こうした現場の声を元に、支援制度活用を阻害している要因を排除する改善策などを提言していきたい」と話す。