浜辺の資源生かし花を植え、宿泊、結婚式場、食事処

農家と連携して徹底的な地産地消 観光客は30万人に

福岡県福津市西福間の玄界灘に面した浜辺が多くの観光客でにぎわっている。グランピングで海を楽しむ人たちだ。その名も「グランピング福岡 ぶどうの樹〜海風と波の音」。ロフトのあるコテージ棟が4棟。屋上テラスのあるアネックス4棟。テントとコンテナが組み合わさったタケノコテント棟が5棟。空中テント棟が1棟ある。キャンピングカー2台のレンタルも行っている。稼働率は夏場は100%。冬場でも60〜70%ある。海外客も約1割。台湾、中国、韓国とアジア圏が中心だが、最近は、ヨーロッパ圏の人も訪れるようになった。

コテージ棟のオーシャンビューの部屋。正面は大きなガラス窓をいっぱいに広々ととってあり、目の前には浜辺と海が広がる

昨今、女子会と呼ばれる女性仲間と二人連れ、カップル、家族でという人が多い。また貸し切りでウエディングというケースや、企業が人材教育で使うということにも利用されている。それというのも、宿泊に必要なアイテムがすべてそろっているのと、すぐ近くに海の観える寿司店、イタリアンなどの店もあり、それらが連携していて、最上の料理も食べることができるからだ。

そばにはフロントと宿泊者専用のラウンジがあり、宿泊者用のフリードリンクやBBQのセット、地場産の野菜なども用意してある。シャワーや洗面台、洗濯機もあり、海遊びも手ぶらで行き楽しめる。

4室あるアネックスの一室。デッキがあり海辺の風景が堪能できる

屋上テラスのあるアネックス4棟は「SELENE セレーネ月」「CIELO シエロ空」「ARONA アローナ太陽」「MOANA モアナ海」。4棟あるコテージ棟は「CLASSICALクラシカル」「ANDALUSIAアンダルシア」「IRODORI イロドリ」「OCEANオーシャン」と、異なる名前がついている。それぞれデザイン、インテリアも違う。トイレの内装はもちろん小物や備品までも部屋ごとに異なるという凝りよう。正面は大きなガラス窓をいっぱいに広々ととってあり、目の前には浜辺と海が広がる。どの部屋に泊まるかを観るだけでも楽しくなってしまう。

「グランピング福岡 ぶどうの樹〜海風と波の音」のフロント。貸し切りでウエディング、企業の人材教育といった利用も多い

シチュエーションも抜群なら、宿泊施設も個性があふれている。グランピングという郊外にあるにも関わらず、備えは万端で、食事も最上のものが味わえるとあって群を抜いている。

タケノコテント棟は、テント内自体が広々としている。横に冷暖房完備のコンテナ棟があり、テント客用のシャワー、トイレも完備しており、快適に過ごすことができる。ちなみに価格は、アネックスは2名利用1棟で一人朝食付きで1万2000円から。3〜4名で1棟一人1万1000円からとなっている。タケノコテントは、2名1棟で一人1万800円から。3〜4名で一人8640円からとなっている。ただし、シーズンによって値段は変動する。夜の食事は、寿司店、イタリアンなどからも選ぶことができる。3000円から7000円程度だ。

ラウンジにもこだわった。すべて手作りで、古い椅子、テーブルなどを再利用してインテリアに生かした

このグランピングを始めたのは、北九州市寄りの遠賀郡岡垣町の浜辺近くにある「グラノ24Kぶどうの樹」の小役丸秀一社長。もともとは祖母が海辺で旅館業を、親が建設業を営んでいたが、敷地内で宿泊と農業を始めた。受け継いだ小役丸さんは国有林の中にあった雑種地のなかでぶどうの樹の下の結婚式場、ブッフェ、宿泊施設をリノベーションしてジャグジーのあるコテージに、浜辺にはコンテナを改装をして海の観える寿司店を創り、浜辺と緑と森を生かし花を植え、宿泊、結婚式場、食事処を作った。さらに海辺の漁業と周辺の農家と連携して、徹底的な地産地消を行い、30万人がおとずれる人気の場を創りあげた。

ちなみに岡垣町は人口3万929人(19年10月)だから、ぶどうの樹の人気がわかろうというものだ。戦後まもなく昭和30年代くらいまでは、浜辺で海水浴客もきていたが、それがまったく来なくなった。ぶどうの樹が森と緑のシュチュエーションを作り、都市にない場にすることで多くの人を集めるようになった。

小役丸さんが、次の展開として始めたのが、同じ、浜辺に続く福津市の海辺を美しく、人の集まるところにしたいという思いだった。(続く)

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