“塀”市場に新たな風

大阪北部地震でブロック塀の倒壊、死亡事故が起こったことをきっかけにブロック塀に対する不安が高まっている。

ブロック塀は建築基準法通りに施工していれば簡単に倒れるものではない。しかし、調査・診断の結果、基礎が十分でなかったり、必要な袖壁がなかったりという施工不良が多く発見された。現場の杜撰な工事により必要不可欠な性能が満たされていない――ブロック塀業界では、こうした状況を受け品質確保に向けた啓発活動などに力を注いできている。

「塀のねっこ」は基礎から塀までをPCで一体的に作ることで現場の施工品質を担保する

ブロック塀からの置き換えを狙うアルミフェンスにとっても決して対岸の火事ではない。ブロックを積みフェンスを建てる場合、そのブロックを積むのはブロック塀建設を担っている事業者である。品質をいかに確保するかという課題はブロック塀業界と同じだ。

こうしたなかで強度が高いだけでなく、品質を担保しやすい新たな塀の提案が始まっている。

コンクリートライセンス機構はプレキャストコンクリート(PC)による「塀のねっこ」の提案を進めている。PCで規格化された製品としては日本で唯一のものであり、昨年末に振動実験を行い、その安全性を確認した。基礎から塀までをPCで一体的につくることで、ブロック塀の問題点として指摘された不十分な基礎、重ね接手という問題をクリアする。

また、太陽エコブロックスは鉄筋コンクリート組積造(RM造)による「RM塀」を提案する。告示による設計指針、施工基準により布基礎が不要、接手が可能、底板の幅を構造計算で出すなど、現場での施工に左右されにくく、施工性が高いことが大きな特徴だ。

現場施工者の啓発活動など地道な取り組みを進めることはもちろん前提ではある。しかし、職人不足のなかで経験豊富な人材に期待することが難しくなっている。当然、多能工化も進むだろう。今後、外国人労働者の増加も想定される。
こうしたなかで職人の経験や技術の差に左右されにくい商品開発が求められることは間違いない。

古くて新しい業界だが、安全・安心に対する強いニーズを背景に、どこまで塀市場が広がりを見せるか。新旧を含め新たな風に期待したい。

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.618(2021年7号)

特集:

SDGs、脱炭素達成に向け脚光

国産材を取り巻く環境は近年、劇的に変化している。
伐採期を迎えた国産材を積極的に活用しようという機運が高まり、また、SDGs、脱炭素といった観点からも国産材に脚光が集まる。
さらに、新型コロナ感染拡大の影響で、外材の輸入が滞り、外材が高騰、不足する逼迫した状況の中で国産材へのシフトが加速する。
こうした中で、持続可能な形で国産材活用を推進していこうとする住宅事業者などの取り組みも活発化しつつある。

目次を見る

関連記事