お湯利用の拡大 給湯機の省エネ価値向上に挑む

近年の住宅部品の実態を観る 第3回

はじめに

省エネ化の進化が給湯機器普及に大きなインパクト

給湯の省エネルギー評価を行う場合に、給湯利用について実態を調査すると、そのパターンは実に多く、典型的なパターンを導き出すことが困難である。主婦が、炊事の後に洗濯を行い、お日様で洗濯物を乾燥するという家事行動は一部に過ぎなくなり、夜中に洗濯を行い衣類乾燥機で乾かすという共稼ぎ世帯があり、高齢者による入浴時間も広がり、風呂追い焚き利用も変ってきた※1。

現在の給湯機器は、多様な利用に応えられるほど成熟したが、それ以上に注目すべきは省エネ化の推進である。それは、今後の給湯機器の普及に大きなインパクトを与え続けることになる。

高効率給湯機の開発と普及

コストがネックで頭打ちのエコキュート

給湯機器の内、高効率給湯機の出荷台数推移を図1に示す。21世紀に入り、給湯機器は、ガス、電気、灯油で新しい省エネ対応機器が開発され設置されるようになった。国や自治体の政策的な後押しもあり、着実に市場を広げてきた※2。

高効率給湯機は、すでに前回で述べた給湯機器の分類とは若干異なる。ガス瞬間式給湯機(先止)、給湯暖房機及び風呂給湯機にもそれぞれ潜熱回収型がある。表1に現在販売されている主な高効率給湯機の特徴と図1の高効率給湯機の統計データ元を記載する。なお、図1には、太陽熱利用給湯システム「ソラモ」及びハイブリッド給湯機はデータ公開がないので加えていない。

図1のように、高効率給湯機普及のほとんどはエコキュートとエコジョーズが占める。その他の高効率給湯機は、普及が進んできているとは言い難い。

近年、高効率給湯機の普及は少し鈍ってきたように思える。その主原因は機器価格である。省エネ給湯機器は、広く普及している従来の給湯機に比べ、高価である。高効率実現のために、従来の給湯機に比べ、例えば熱交換器を増やす、コンプレッサーの圧力を高める等、新しい技術開発が行われ、構造が複雑になり、高価になった。燃料電池コージェネレーションシステムのように、まったく新しい技術を使い、従来給湯機の概念を超えるもの(そのためにバックアップ給湯機を装備し万全を期した)ものもあり、高価となった。コストダウンの工夫は日々継続されるが、そうした努力をしても、従来給湯機や風呂釜にはかなわない。また、給湯機を交換設置する場合、給湯機器の大きさや重量が変化し、構造が変更となったことによる制約等もあって、同じ場所に設置できないこともある。高効率給湯機を設置するためには、設置施工費用が大幅にかかる場合も生じる。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。