2019.12.23

国交省がまちづくりへのSIB活用に本腰

地域活性化の新たな官民連携手法に

国土交通省は「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」のまちづくり分野への活用を本格的に促していく。12月に全国で研修会を開催するなどし、日本版SIBの構築を目指す。


SIBは社会課題の解決を図るための新たな官民連携手法の一つである。行政は地域が抱える社会課題の解決を目指して実施する公共事業を民間事業者に委託、あらかじめ設定した成果目標の達成度合いに応じて行政から報酬が支払われる仕組みだ。

行政は財政的なリスクを抑えながら、民間の新しい取組みを活用でき、新しいサービスの試行を行える。また、成果が可視化されることで、サービスの向上などが期待できる。

SIBの発祥はイギリスで、世界では2019年1月末時点で24か国130プロジェクト、466億円のSIBの活用実績がある。主に、就労支援や生活困窮者支援、ヘルスケア、子ども家庭支援、再犯防止、教育、貧困と環境といった分野で活用が進められている。

こうしたなか、国土交通省はまちづくり分野での活用に向け、今回、取り組みを本格化させる。12月3日に東京で、12月6日に大阪で自治体向けの研修会を開催。まちづくり分野でのSIB活用の可能性や国内外のSIBの先行事例、まちづくり分野でのSIB活用にあたっての基本的考え方や具体的な事業化の手順などを説明し、自治体への理解を促した。来年3月には、住宅・不動産などの民間事業者も含めて広く参加を募集するシンポジウムを東京で開催、まちづくり分野でのSIB活用の機運を高めていきたい考えだ。

また、今年度内をめどにSIB導入の手引きも策定、自治体がまちづくり分野へのSIB導入を図るうえで想定される問題等へのアドバイスを行う。自治体へのアンケートも実施、現状把握などにも取り組む。さらに、現在、滋賀県東近江市で実施しているモデル事業の結果を今年度中に取りまとめ、成果を他地域へも横展開していきたい考え。

一方で、SIBは、日本ではまだ始まったばかりの仕組みであり課題も多い。例えば、成果指標の設定だ。まちづくり分野では、実績がヘルスケア分野のようには明確に表せない部分も多く、この点をどのように評価指標に落とし込むかが課題になる。

こうしたことから、海外も含め、まちづくり分野へのSIB導入の実績はまだ多くないというのが実情だ。そのような中で、まちづくり分野での日本版SIBをどのように構築していくのか、今後に注目が集まりそうだ。

SIBの基本的な事業スキームの例(出典:国土交通省)

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.608(2020年20号)

特集:

データ連携で業務改革

木造住宅の分野で、住宅データを連携させ、構造図作成、プレカット図作成、さらに構造計算、積算・見積といった業務効率を格段に高めるソリューション提案が活発化している。住宅業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)ともいえる波は、ビルダー、建材流通事業者、プレカット工場など、多岐にわたる関係者にどのような影響をもたらすのか。単に生産性向上にとどまらず、新たな価値の創出、競争力強化といった効果も期待できそうだ。

目次を見る

関連記事