内陸立地型の合板工場が増加 生産流通の構造変化が進行(下)

資源立地型の拠点整備が主流に

かつて、合板工場の原料はほとんどが東南アジア産のラワンやロシアカラマツといった外材であった。そのため、ほとんどの合板工場は外材の受け入れがしやすい港湾部に立地していた。しかし、国産材の利用量が増えるにつれ、林業産地に近く、国産材原木を調達しやすい内陸部に工場を新設するメーカーが出てきた。その嚆矢となったのが、国内最大の合板メーカー・セイホクグループに属する森の合板協同組合で、2011年春から岐阜県中津川市で生産を開始した。周知のようにその年の3月11日には東日本大震災が発生し、東北各地に甚大な被害をもたらした。当時、東日本の主要な合板生産拠点は、秋田、岩手、宮城の港湾部に集中していて、震災によって岩手と宮城の合板工場が壊滅的な被害を受けた。そのため、国産合板は一気に品不足に陥り、それを補うために、発足したばかりの森の合板協同組合は、開業当初からフル稼働体制で合板を製造しなければならなくなった。

震災対応という非常事態の下ではあったが、山側の協力もあって原木の集荷は滞りなく行われ、同協組はトップギアでの急発進という異例の船出をし遂げた。それが内陸立地型の工場としての存在感を示すことにつながった。以後、2015年春にはノダの富士川工場(静岡県富士市)と北上プライウッド(岩手県北上市)が、2018年春には日新の三重工場(多気町)が、さらに今年春にはキーテックの山梨工場(身延町)と新栄合板工業の大分工場(玖珠町)がそれぞれ稼働を開始し、内陸立地型の合板工場が一気に増加した。いずれの工場も国産材使用割合は100%で、地域の森林資源をベースに製造拠点を整備することが、合板業界にとって既定の戦略になっていることがうかがえる。

キーテック山梨工場は県内調達率50%

これら内陸立地型工場のうち、キーテック山梨工場は、原木消費量が約1万平方メートル/月、合板製造量は約5700平方メートル/月の計画で、操業開始後から徐々に稼働ペースを高めてきている。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。