2019.10.4

(一社)プレハブ建築協会 戸数・シェアの減少続くなか性能・品質の向上は着実な広がり

完工戸数・生産能力調査を公表

2018年度のプレハブ販売戸数は前年度比5.5%減、新設住宅着工に占める割合も同1.1%減の15.8%となった。一方、長期優良住宅やZEHの比率は着実に高まっている。


(一社)プレハブ建築協会が「プレハブ住宅完工戸数実績調査及び生産能力調査」の結果を公表した。

2018年度のプレハブ住宅完工棟数は15万858戸と前年度比5.5%減。近年の完工棟数は2010年度の13.3万戸以降、毎年増加を続けてきたが、2016年度の16.8万戸をピークに2年連続の減少となった。一方、プレハブ住宅比率(全新設住宅着工戸数に占めるプレハブ住宅完工戸数)は15.8%と同1.1ポイント減。2014年度の17.8%をピークに4年連続の減少が続く。

建方別に完工推移をみると、一戸建てが同0.3%増と微増であるのに対し、共同建てが同8.3%減と減少。中高層共同建てが同0.1%減とほぼ横ばいであるのに対し、低層共同建てが同18.5%減と大きく減少。昨年に続き低層アパートの大幅減少がプレハブ住宅完工数を引き下げることになった。

建方別、階層別、構造別プレハブ住宅完工戸数
エリア別の長期優良住宅比率、ZEH比率(一戸建)

長期優良住宅比率は27.1%
ZEH率は4割に近づく

長期優良住宅の認定戸数は4万875戸。プレハブ住宅全体に占める長期優良住宅比率は27.1%、同0.9ポイント増とし、2年連続の上昇となった。一戸建てが4万515戸とほとんどを占める。

一戸建て長期優良住宅比率を構造別にみると、木質系が68.6%、鉄骨系が81.2%、コンクリート系が8.2%であり、鉄骨系が8割に乗る一方で、コンクリート系の長期優良住宅化が進んでいない。

一戸建て長期優良住宅比率をエリア別にみると、四国が91.8%と唯一の9割超え九州・沖縄87.9%、中国86.8%、近畿84.4%と近畿以南が8割以上だ。

一方、ZEH(一戸建て)は1万9699戸、同15.6%増と大きく増加。一戸建てプレハブ住宅全体に占める割合(ZEH率)も37.6%、同5.0ポイント増と、3戸に1戸以上がZEHとなっている。構造別のZEH率は、木質系が37.7%、鉄骨系が39.1%、コンクリート系が0.0%と、鉄骨系は4割に迫る。

エリア別にZEH率をみると、九州・沖縄が46.6%と最も高く、中国46.3%、四国43.1%、近畿42.0%というエリアが4割以上。前年度と同様に西日本エリアが4割台となっているのが大きな特徴だ。

長期優良住宅比率(一戸建て)
ZEH率

上位社シェアに変動?
共同建ては寡占化が緩む

同調査では、販売戸数上位者の戸数・シェアも算出している。

総数でみると、上位10社の合計販売戸数は14万3863戸で、シェアは95.4%と、上位者の寡占が顕著だ。ちなみに10年前の「平成20年度調査」(2008年度)では17万5751戸、96.0%と、戸数は減少しているものの、シェアは微減程度である。ただ、詳しく見ると、シェアは確実に変わりつつある。

一戸建て10社のシェアは99.6%と同99.2%から寡占化が進んだ。低層一戸建ての上位5社シェアは80.3%と、同77.7%から2.6ポイントも増加した。しかし、構造別に上位3社のシェアを構造別にみると、木質系は10年前の98.9%から94.0%へ、鉄鋼計は61.9%から59.1%へ、コンクリート系は82.2%から76.4%へ軒並み減少している。それぞれトップ3に対し、2番手グループの企業がジワリとシェアを伸ばしつつある。

一方、共同建ては上位者がシェアを落としつつある。上位10社のシェアは95.3%と同97.2%から1.9ポイント減少。低層共同建ての上位5社シェアは88.1%と同92.3%から4.2ポイントも減少した。中高層共同建ての5社シェアも84.7%と同88.1%から3.4ポイント減少している。8割台と変わらず高い寡占化が続くものの、その割合は顕著に下がってきている。