(一財)日本建築センター、ストック関連事業に注力
耐用年数評価などの新事業も開始
日本建築センターは既存建築物に関するサービス提供を積極的に展開する。RC造の耐用年数評価など新事業もスタートし、ストック関連の業務を拡大する。
(一財)日本建築センターは、既存ストックの有効活用が社会的に大きな課題となるなか、既存建築物関連の業務に注力する。従来から行っているガイドライン調査や遵法性調査に加え、新たなサービスなどを追加して積極的に展開していくものだ。
これまで既存建築物関連の事業を担ってきた「認証部・認証課」を「既存建築物技術審査部・技術審査課」に改称、既存建築物に関するサービスを総合的に提供する部署として、対外的にわかりやすくした。具体的には①既存建築物関係業務の調整・連携、②既存建築物の調査・鑑定業務、③既存建築物の技術審査・検査業務(耐震診断評定業務を含む)、④建設技術審査証明(建築技術)業務、などを推進する。特に既存建築物の調査・鑑定業務を拡大していく考えだ。
また、「既存鉄筋コンクリート造建築物等の構造体の耐用年数評価業務」を新事業として5月にスタートした。現況の調査結果に基づく構造体の耐用年数の評価と、現況評価を行ったうえで改修計画及び維持管理計画による耐用年数延長効果を考慮した構造体の耐用年数の評価を行う。
これらの評価を受けることで、「既存建築物の長期活用に向けた改修投資、既存建築物の売買、改修や売買に対する金融機関の長期資金融資、不動産鑑定などにおける収益性評価など、市場での評価に大きく寄与することができるのではないか」(香山幹・専務理事)と事業の意義を話す。
東京23区だけで1万棟の老朽建築物が
既存建築物の評価について、「膨大な建築なストックがある。古い建物を用途転換して使わなければ老朽化していくばかり。潜在的なニーズはある」とみる。
同財団によると、東京23 区内だけで新耐震基準以前の中小規模の事務所ビル等は2000 棟以上、築20 〜30 数年のものが約7000 棟と1万棟近い老朽建築物があるという。これらの中には除却するしかないものも含まれるだろうがニーズは高そうだ。さらに、昭和40 年代に大量に建設された公営住宅をどう活用するか行政が検討しており、今後、ストック建築物を長期活用していくうえで既存建築物の評価は欠かせないものとなるだろう。
「既存鉄筋コンクリート造建築物等の構造体の耐用年数評価」についても、すでに10 件以上の相談がきているといい、周知されていくことで事業はさらに広がりそうだ。
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