パナソニック ホームズ「防災持続力を備える家」
パナソニック ホームズが「防災持続力を備える家」を発売した。創蓄連携による電力確保、貯水タンクによる飲料水確保といったインフラ面での対応に加え、IoT活用によりさまざまなサービスを提供し、災害に備える住まいを提案する。
近年、地震だけでなく台風や豪雨などの大規模な自然災害が相次いでおり、生活者の防災に対する意識が高まっている。しかし、これまでも阪神淡路大震災や中越地震など大規模な災害が起きるたびにこうした意識は高まるものの、時間とともに薄れてきたのが現実だ。
パナソニック ホームズの調査によると、72%が「防災や備えの意識は高まった」、80%が「災害への備えを行っている」と回答しているが、「災害への備えを継続できる」と考えている人は29%と3割に満たない。防災意識を継続して持ち続けることは難しい。
こうしたなかでパナソニックホームズが打ち出したのが「防災持続力を備える家」である。“継続させる”という価値を打ち出したのは住宅業界初の試みであり、今後、戸建て住宅だけでなく集合住宅にも採用を促していく。
水道管に貯水タンク
Home Xの搭載も
ハード面では、超高層ビルの制震技術「座屈拘束技術」を住宅用にダウンサイズしたアタックダンパーを採用。阪神・淡路大震災の4.3倍の地震波でも倒壊せず、繰り返す大地震でも住み続けられる。
また、太陽光発電と蓄電池の創蓄連携により停電時でも約3日分の電力を供給する。さらにエネファームを活用することで、計11日分の電力供給が可能だ。災害時に重要な情報の取得手段はネットやTVであり、電力の確保は欠かせない。
新たな設備として提案されたのが「貯水タンク」だ。約43㍑のタンクは家族4人の3日分の飲料水(36リットル)を確保する。水道管の一部として設置するため、断水時に新鮮な水を使うことができる。トイレなどの生活用水については、エコキュートの約360リットル、エネファームの約130リットルを活用することもできる。
“防災持続力”には、パナソニックが昨年提案し、パナソニック ホームズが「カサート アーバン」で導入した「Home X」が大きな効果を発揮する。例えば、台風の場合など気象情報と連動して自動でシャッターを閉鎖し、自動で蓄電して停電に備える。また、専用サイトを通じて備蓄品の入替えや災害後の設備復旧手順などの情報も提供する。同社ではサードパーティとのサービス連携も含め、将来的にはサービス拡張も検討する。
これらの“備え”は、居住者をさりげなくサポートし、災害後も暮らし続けることができる安心を提供するものだ。
加えて、有料会員組織「あんしん倶楽部」では、台風や床上浸水で受けた被害に応じて見舞金を支払うなどの補償サービスも提供している。
“防災持続力”の搭載戸建住宅で35%を目指す
「国土強靭化基本計画」の策定など国が防災対策に力を注ぐなか、2019年度にはZEH支援事業において「ZEHを活用したレジリエンス強化事業」が新設された。「防災持続力を備える家」は、同事業に求められる要件に対応が可能であるという。
同社では4月から全国の展示場で「防災持続力を備える家」のキャンペーンを展開、テレビスポットCMを集中放映するなどPRに力を注ぐ。
「安心の家づくりに取り組む企業であることを訴求するだけでなく、生活者への意識啓発も」(松下社長)と、“安心”を切り口としてブランド価値を高めていく。
「防災持続力を備える家」をフルパッケージで「カサートS」(37坪)に搭載した場合、総額は2900万円程度。戸建住宅に占める搭載の割合35%を目指す。
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