里山住宅博 ㏌ TSUKUBA 地域工務店が大型分譲事業に参画

街区内の緑地を住民が共同所有

  


茨城県つくば市で、「里山住宅博 ㏌ TSUKUBA」というプロジェクトが進行している。75区画の戸建分譲事業において、複数の地域工務店が住宅を供給しようというものだ。

21社・23棟のモデルハウスを公開
建築家などが設計したモデルも

里山住宅博は、つくば市の前に神戸でも開催されており、町の工務店ネットの小池一二代表理事がプロデュースしている。

つくば市の住宅博では、21社の地域工務店が参加し、茨城県産材や自然素材を多用した23棟のモデルハウスを建設する計画だ。

完成したモデルハウスを広く公開し、各社のモデルハウスを気に入った顧客がいれば、建築条件付き分譲という形で「つくば春風台ヒュッゲガーデン」内の他の区画を販売し、建物を建築していく。モデルハウスについても公開後は売却する。こうした仕組みを活用することで、1社単独ではモデルハウスを開設したり、分譲事業を行うことが難しい地域工務店が、無理なく街づくり事業に参画できるというわけだ。

また、「ヴァンガードエリア」というものも設けている。このエリアでは、神戸芸術工科大学教授で建築家の小玉祐一郎氏をはじめ、森みわ氏などが設計を手掛けた住宅が建築される。なお、「つくば 春風台ヒュッゲガーデン」の土地は地元のデベロッパーであるサンヨーホーム(山川洋社長、茨城県牛久市)が保有しており、建築条件付き土地は同社が分譲する。

「つくば 春風台ヒュッゲガーデン」の街区内でモデルハウスの建設が進む里山住宅博エリア
住宅博のスタートに先駆けて行われた植樹祭には、多くの地元の子どもたちが参加

つくばならではの郊外住宅地を田園住居地域のモデルにも

「つくば 春風台ヒュッゲガーデン」は、緑豊かな環境が広がるつくば市ならではの郊外住宅地を形にしようとしている。

具体的には、街区内にコモンエリアを設け、コミュニティ形成の場を設ける。また、街区の周辺部にある斜面地に緑化を施し、里山のなかでの暮らしを演出していく。

このコモンエリアと斜面地については、住民が各住戸の敷地面積に応じて共同で所有することになる。その面積は合計で1万1465.28㎡。街区面積が2万5684.28㎡であり、共有地がいかに広いかが分かるだろう。

共有地の管理は、地元の造園会社に依頼する。その費用は住民が支払う共益費の中からねん出するという。同時に周辺の農家などと連携しながら、分譲地の住民と周辺住民が協働して管理を行うことも促す。

さらに、斜面地については保健保安林としての指定を受け、減税措置などを講じていくことを自治体に働き掛けている。

新たに用途地域に追加された「田園住居地域」のモデル的なプロジェクトになることも目指しているという。

サンヨーホームの山川洋社長は「デベロッパーという立場で考えると、1区画でも多くの住宅地を開発し販売した方が事業として成立しやすい。しかし、地域をより豊かにし、地域外からも人が集まるような住宅地を開発することも重要な役割」と語る。

住宅博のスタートに先立ち、3月には地域の子ども達による植樹祭も行われ、五十嵐立青つくば市長をはじめ、多くの関係者が参加した。五十嵐市長は、「つくば市が他のニュータウンと異なる点は、自然が豊かで、多くの里山が今も残っていること。春風台ヒュッゲガーデンについても、里山や緑の成長とともに長く価値が続く街にしてほしい」と述べた。

これまでも分譲地内に共有地を設け、その共有地を管理することでコミュニティの形成を促そうという試みが行われてきたが、ここまで広大な共有地を持ち、周辺住民まで巻き込みながら地域の活性化を図ろうという分譲住宅地は珍しい。それだけに、地域工務店が参加するスキームとともに、今後の街づくりに様々なヒントをもたらすことになりそうだ。

植樹祭には五十嵐つくば市長(左)とサンヨーホームの山川社長(右)も参加し、天皇陛下在位30周年記念樹を植樹
植樹祭の後に開催された模擬上棟式
既に完成した集会所にも地域産材を多用している

住まいの最新ニュース