2019.2.13

大和ハウス工業 3年後めどに木造3000棟を目指す

2020年3月までに全国で販売体制を確立

大和ハウス工業は3年後をめどに木造住宅の販売で3000棟を目指す。全国の営業体制の強化を図るとともに、都市部の3階建市場に向け新たな提案も開始。森の中にいるような住環境で都市ストレスを軽減し、予防医療の観点から健康長寿な住まいを訴求する。

大和ハウス工業は木造戸建住宅事業を強化し、年間受注棟数を現在の約700棟(仮設住宅も含む)から3年後をめどに年間3000棟に引き上げる。

これに向け営業体制を強化。これまで木造住宅の販売は主要都市の営業所でしか行っていなかったが、2020年3月までに全国すべての営業所でも販売できる体制を整える。

都市部の3階建戸建市場での木造住宅の提案も強化していく。敷地に制限も多い都市部でも比較的対応しやすい木造住宅のメリットを訴求する。また、最近は鉄骨の資材価格が上がっているため、鉄骨より1割程度価格を抑えられる木造で攻勢をかける。

コンセプトモデルハウスの1階は落ち着きのあるダーク調でまとめ、まるで森の中にいるような空間
2階は木のぬくもりを感じられる空間。薪ストーブの炎のゆらぎ、森の音、香り、緑でリラックスした空間

中高年ターゲットの新提案も
「森の環境」で都市ストレス軽減

都市部の3階建戸建市場での木造住宅の提案強化にあたり、50歳~75歳に向けた「森が家(もりがいえ)」という新たな提案も開始。1月19日から東京都の品川シーサイド展示場でコンセプトモデルハウスを公開した。

「森が家」は人生100年時代に向け、予防医学研究者の石川善樹氏と「都市ストレスから解放され、健康で充実した人生を謳歌できる家」を目指して開発したもの。「省エネや耐震、耐久性といった性能では差別化できない」(林直樹 上席執行役員)ことから、今回の新たな提案に至った。

森の環境を住宅内に再現することで、都市の中で感じているストレスから解放。リラックスできる住空間で過ごすことで、健康な暮らしを送ることができる。森の環境を作り出すために、緑視率(視界に緑が入る率)を10%以上になるように植栽を配置、ハイレゾ(超高周波)の音響システムで鳥のさえずりといった森の音を収集した音源を流す。また、アロマディフューザーで森の香りを再現、薪ストーブ(モデルハウスでは水蒸気と照明によるイミテーション)で焚き木を囲んでいるかのような空間を作り出す。

都市で暮らす50歳以上の人に「森が家」で暮らしてもらい、ストレス軽減効果の実証実験も実施。普段の暮らしと比べ約14%のストレス低減効果が見られ、認知テストの正答率が約13%上昇する結果が得られた。

今後、都市部の3階建戸建注文住宅の中でも高価格帯で「森が家」の提案をプランニングに取り入れていく予定だが、戸建住宅一般でも、ここでの要素を取り入れることを検討。実証実験でストレス軽減や認知力の向上が認められているだけに、“新たな健康住宅” として、高価格帯の都市部木造3階建にとどまらない展開も期待できそうだ。