(一財)住宅産業研修財団 大工志塾をスタート
伝統木造の技術・技能を伝える
(一財)住宅産業研修財団が、日本の伝統木造建築の技術・技能を継承、次世代を担う人材の育成を目的とする「大工志塾」を開校した。一期生として30人が入塾、先に入塾式を開催した。
日本の伝統木造建築の担い手である高度な技能・技術を備えた棟梁の高齢化が進むとともに、若い大工は減少の一途を辿っている。
こうしたなか(一財)住宅産業研修財団(上野公成理事長)と優良工務店の会(佐々木幹哉代表幹事)が国の補助を受け「大工志塾」を開校した。伝統木造建築の技術・技能の次世代を担う人材の育成を目的とする。
大工志塾では教室講義と現場修業、集合実技研修を3年間行う。教室講義は、手仕事の道具や職人の心得から始まり、木造軸組住宅の施工、設計・製図などを学ぶ。特に規矩術に多くの時間を割いているのが特徴だ。工務店修業では、指導棟梁が大工道具の使い方と手入れの仕方、材木の特徴や見分け方などのほか、建て方を経験しての知識や技術、継手・仕口の墨付・刻みなどを指導する。集合実技研修は、年に1回開催するもので、全国の塾生が集まって2泊3日で実技研修を行う。群馬県多野郡神流町との連携で古民家の移築や改修、修繕などの作業の実地体験や森林の維持管理、伐採、製材などを見学する。大工としての技術・技能の習得にとどまらず、川上の木材生産や、古民家再生など地域の住宅産業が抱えるテーマも包含していることが特徴となっている。
一期生に30人が入塾 入塾式を開催
10月12日に(一財)ベターリビングにおいて「大工志塾 第1期入塾式」が開催された。開会にあたり上野理事長は「川上とも連携をして大工の育成に取り組む。木と山をよく知ってもらい、伝統を受け継いでいただきたい」と挨拶した。佐々木幹哉塾長は「一番の特徴は座学。4人の講師が各地域に行って教える。これをベースにして実技に役に立ててほしい」と話した。
来賓である眞鍋純・国土交通省大臣官房審議官は「新築住宅の57%は木造住宅。中小規模の工務店がこれらの半分以上を供給しており、大きな役割を担っている。大工数は20年で半分に減っており、入塾した皆さんは非常に重要な役割を担っている。伝統構法に関する知識と理論、技術と技能、その両方を兼ね備えた人材として大きな期待がかかる」と祝辞を述べた。また、猪島康浩・林野庁木材産業課長は「こうした活動は木材需要を創出し、林業、木材産業の発展にも大きく貢献するものと考える。木材に対する国民の理解を深める意味からも大変意義深いもの。木の良さを活かした伝統的な木造住宅建築の中心的な担い手となることを強く期待している」と話した。
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