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伝統の継承と技術の革新

(一財)住宅産業研修財団が「大工志塾」をスタートさせた。伝統木造建築の技能・技術を伝承する若い世代の人材育成を図るものだ。

そのカリキュラムで多くの時間が割かれているのが規矩術(曲尺を用いた伝統建築における立体幾何学的な作図法)である。わが国の木造建築の技能・技術面での「伝統」を重視する姿勢がうかがえる。

折しも、今年2月には政府が「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を2020年のユネスコ無形文化遺産への提案候補とすることを決定しており、伝統的な技能・技術への注目が高まっている。

その一方で、人材不足に目を移すと、大工だけでなく建設技能者の減少が著しい。高齢化が進み、若年層の入職が減っている。国土交通省でも建設キャリアアップシステムの構築に取り組み、技能者の就業履歴や保有資格などを業界統一のルールでシステムに蓄積し、技能者の処遇改善や技能研鑽につなげようとしている。

働き方改革も含め、どのように職業としての魅力を高め、若年層の入職を促していくか、住宅産業界に課題は山積している。

野村総研の予測によると、大工の人数は2015年時点で35万人であるが、2030年には21万人まで減少する。同総研では2030年の新設住宅着工戸数を60万戸と予測するが、大工人数が21万人に減少すれば建設現場における労働生産性を約1.4倍に引き上げなければその戸数さえもおぼつかなくなる。

こうしたなかで木造住宅の技術革新により生産性を高める動きも活発化している。例えば、ウッドステーションの取組みが良い例だろう。工場生産で大型パネル化する工業化技術と、BIMなどの最新の情報技術を融合し、在来木造住宅の生産性を飛躍的に高めるものである。

伝統の継承と技術の革新。木造建築をめぐり、その両面からの取り組みが急速に進みつつある。

大量の住宅供給が求められる中でプレハブ住宅が生まれ、わが国の住宅産業に新しい流れが生まれたように、深刻な大工不足のなかから、伝統と革新をあわせ持つ木造住宅が生まれることを期待したい。

大工志塾には、伝統木造建築の技能・技術継承を担う30人が入塾した

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ハウジング・トリビューンVol.634(2022年2号)

特集:

進化する「wallstat」が木造住宅づくりを変える

地震大国といわれる日本において、住宅の地震対策は欠かすことができない。また、遠くない将来に必ず起こるといわれる南海トラフ地震と首都直下型地震などの巨大地震に備え、住宅には、より高いレベルの耐震性能が求められている。こうした中で近年、存在感を高めているのが、木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」だ。木造住宅を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される巨大地震など様々な地震動のデータを入力することで、木造住宅の地震による揺れを動画で解析し構造プランを強化できる。

耐震性能の可視化により、エンドユーザーに対しても説得力を持って高耐震住宅の重要性をアピールしやすくなるため、wallstatを活用して、建てる前に住宅を揺らし、壊し、シミュレーションを行い、より耐震性の高い、安全性を高めた住まいを実現し、普及を目指す住宅事業者も増えてきている。

2022年1月には、wallstatのバージョンアップにより、耐震シミュレーション機能が強化された。ユーザーの声を反映し、計算時間を約2分と、従来の10分の1に短縮。より使いやすいものへと進化している。wallstatで耐震シミュレーションをすることがあたり前という時代になっていきそうだ。

併せてwallstatに組み込みシミュレーションできる建材、連携できるソフトウェアも紹介する。

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