2018.8.28

ミサワホーム アフターサービスを通じたストック需要開拓を推進

カスタマーサポート表彰制度で最優秀賞

ミサワホームは、(公社)企業情報化協会が主催する平成30年度カスタマーサポート表彰制度で最優秀賞を受賞した。住宅業界では初めての受賞となる。同社では、アフターサービスの拡充により、アフターサービス部門をストック需要開拓の窓口へと変革し、居住者の住生活価値の向上へとつなげていきたい考えだ。

(公社)企業情報化協会は、「IT活用による経営革新の推進機関」として、企業の情報化に関する調査研究や開発を行い、その成果の普及と実践などを推進している。

カスタマーサポート表彰制度は、同協会が活動の一環として主催しているもの。顧客に対するサポート・サービスに関して、創意工夫や先進的な試みを行った企業を表彰している。

同協会では、平成30年度の受賞企業を発表、ミサワホームが住宅業界で初めて最優秀賞を受賞した。「新築市場が縮小するなか、既存オーナーとの関係性の維持・向上と紹介受注の拡大に向けた、事業成長の中核機能としてのコンタクトセンターの役割発揮の方向性が明確になっている」といった点が高く評価された。

コールセンターでの直接対応を推進
アフターサービスの直接手配も

ミサワホームでは、平成19年3月に24時間365日対応体制のコールセンターを開設し、平成26年10月にはBCP(事業継続計画)の観点から札幌にもコールセンターを設けている。

同社のコールセンターでは、直接対応を推進している。そのために、コールデスクで一次対応を行うだけでなく、テクニカルアドバイザーが常駐するサポートデスクが技術系の問い合わせやアフターメンテナンスの手配なども行う。テクニカルアドバイザーの多くはミサワホームのOB社員などが努めており、幅広い問題に電話で対応することが可能だ。

さらに、営業系の二次対応などを行う住まいるりんぐDeskも設置。

こうした三位一体の体制によって、できるだけコールセンターで対応が完結することを目指しており、平成29年度の実績では完結率が40%に達している。

また、メンテナンス担当者の負担軽減のためにコールセンターがアフターメンテナンスの直接手配を行った割合は38%となっている。これを60%にまで高めることを目指しており、アフターメンテナスの手配先の新規提携などを進めている。

また、業務をサポートするシステムの拡充も進めており、入電があると自動で顧客情報や住宅履歴がポップアップする仕組みなどを構築した。

コールセンターでの完結率を高めていくことで、迅速な対応を図れるだけでなく、業務全般の効率化も推進できる。

24時間365日体制で対応しているコールセンター。入電があると自動で顧客情報や住宅履歴がポップアップする仕組みなどを導入している
オーナーサポート体制イメージ

Webサイトも活用
ポイント制度などで活用を促す

オーナー専用のWebサイト「ミサワオーナーズクラブ(MOC)」を通じたアフターサービスの拡充も進めている。

MOCでは、日々のメンテナンスなどに関する情報を発信しているほか、太陽光発電を設置した住戸の発電量といった住戸ごとの情報も把握できる。また、IoT機器を活用して外出先から住まいの状況を把握したり、家電などを遠隔制御するといった機能も備えている。

独自のポイント制度も運用。ミサワポイントモールの提携ショップなどで買物を行うとポイントが貯まっていく仕組みになっている。

さらに「ミサワでんき」を契約すると、電気料金の5・5%をポイント還元する特典も用意しており、貯まったポイントは買物やメンテナンス工事などに利用することが可能だ。

平成29年10月時点でMOCの会員数は13 万件を超えており、年10%の増加を目標として、会員獲得のための取り組みを進めているという。

アウトバウンドで営業情報も創出
アフターサービス部門を収益部門に

一方、「インバウンド対応だけでなく、アウトバウンド活用によって営業情報を創出し、アフターサービス部門をコストセンターではなく、プロフットセンターに変えていきたい」(同社執行役員カスタマーサポート推進部長兼お客様センター長 森田哲之氏)とも考えている。

そのために、顧客からの問い合わせなどに対応するインバウンドだけでなく、コールセンターから顧客とのコミュニケーションを図るアウトバウンド活用も推進。具体的には、築3年、4年、5年、10年、20年目にコールセンターから住まい心地などをヒアリングするようにしており、そこで得た営業情報を各部門と共有している。

こうした取り組みが奏功しアフターサービス部門の売上も増加してきており、平成29年度の貢献受注額は前年度実績から60%増の10億9200万円となった。今後、10%の伸長率を目指していきたい考えだ。

同社の森田執行役員は、「生活者のベネフィットを追求していくためには、建物の長寿命化などを進めていくハード部分の取り組みに加えて、居住者の住生活というソフト面での価値向上が求められている。そのためにも、アフターサービス部門を収益を生み出す部門に変革しながら、ストック需要を開拓していく必要があるのではないか」としており、今後もインバウンド、アウトバウンド両面から取り組みを活性化させていきたい考えだ。