現場ファーストの体制を構築

クリナップの新社長に営業本部長を務める竹内宏氏が就任した。佐藤茂前社長の就任から1年3ヵ月でのトップ交代。
「現場ファースト」体制を構築するとともに、高級品の販売に注力する方針だ。今後の経営方針などを聞いた。

代表取締役 社長執行役員兼営業本部長 竹内宏氏
兵庫県たつの市出身。1956年1月14日生まれ(62歳)
1979年4月 井上工業(現クリナップ)入社
2012年7月 執行役員
2014年3月 営業本部 関西支社長
2014年7月 常務執行役員
2015年3月 営業本部 関西支社長兼関西支社営業開発部長
2016年3月 ハウス・直需事業部長
2016年6月 取締役
2018年1月 営業本部長(現任)
2018年3月 ハウス・直需事業部管掌(現任)
2018年4月 代表取締役 社長執行役員

──社長に就任されて今のお気持ち、意気込みなどを聞かせてください。

私は大学の卒業と同時に1979年にクリナップの前身となる井上工業に入社しました。岐阜や大阪で営業を務めた後、営業所長や支店長、支社長などこれまで36年間営業現場一筋で過ごしてきました。社長就任の話は今年の1月に営業本部長になった矢先のことでしたので、予想もしていなかったというのが正直な気持ちです。ただ、会長から「営業部のトップに社長を任せたい」という言葉を受け、ご指示ご協力を頂きながらしっかりと務めていきたいと考えています。

社長になってからの数カ月で感じるのは、まだまだ現場ファースト、お客様目線での対応が足りていないということです。前社長の頃から現場ファースト体制の構築に向け取り組んできましたが、もっと力を入れていかなければいけないと感じています。

また、営業現場の本当の意見や現場で起こっていることが本社にまで通ってきていないという印象も受けます。情報の風通しを良くしていきたい、業績回復に向け、長年のクリナップ体質を変えることが必要だと思っています。

──前中計では販売数、シェアともに減少となりましたが、どのようにお考えですか。

前中計で掲げた目標のほとんどが未達成で終わりました。達成できたのは商品ごとの利益率の改善ぐらいで、販売数やシェアはダウン、コスト低減もできませんでした。また、営業の負荷を軽減しようと努めていたのですが、そこについても未達で終わっています。

他社の商品に売り負けていると考えていますが、その原因のひとつとしてここ数年、我々の営業力が弱くなったことが挙げられると思います。

先日、取引先のある会社から「クリナップは商品力の半面、ここ数年で営業力が落ちているのではないか」と言われました。私自身もそう思っています。このため営業社員には成約に対する執着心を持つこと、販売に繋がる情報の獲得や成約に対して前のめりな姿勢で取り組むよう指示しています。

また、これまでは販売施策の中である程度価格を絞り込んできた面があり、強気な価格設定をとってきたことも価格の部分を含めた社内の提案が少なくなってきているきらいがありました。営業社員の士気を高め積極的な営業活動を展開するためにも柔軟な価格政策は大事だと思っています。

──現場ファースト体制の構築に力を注ぐということですが、具体的にはどのような社内改革、取り組みを進めていくのでしょうか。

やはり意識改革は必須となってくるでしょう。商品力により販売を伸ばしてきた時代もあった半面、そこに対する甘えのようなものもあったように思いますし、我々のマネジメントができていなかったとも考えています。

そのなかで特に現場をマネジメントする所長の役割は大きいと思います。所員の管理がしっかりとできていてコミュニケーションが取れているところは比較的上手くいっているところが多く、「営業所内のコミュニケーションをしっかりとってほしい」ということを伝えています。

また、営業現場の負荷をどれだけ軽減できるかも重要なポイントになってくると思います。お客様からの様々な依頼や問い合わせのすべては営業社員を通して入ってきますが、ショールームや営業所によって見積もりなどを行う専門職などとの連携に差があるのも事実で、その差を減らしていくことが必要です。

現場の効率化を図るといった面では来年4月を目標に新システムを稼働させる予定です。新システムの稼働により内勤業務の負荷がある程度軽減できると思っています。営業社員ができるだけ営業に徹することができるよう、訪問件数と訪問の質をあげることができるよう内勤業務や雑務の時間の削減に力を注ぎたいと思っています。

──システムキッチンの主力商品だった「クリンレディ」を一新し後継商品として「ステディア」の提供を開始すると発表されましたが、その意図を教えてください。

販売から35年、累計販売台数165万台という「クリンレディ」を「ステディア」に変えることについては、お客様や社員からも疑問や不安の声がありました。ただ、新たな気持ちでもう一回頑張ろう、この商品に社運をかけて決意をもってやっていこうという思いで決断しました。

平成11年にクリンレディの原型をつくる際、一目見てクリナップとわかるデザインにしようというコンセプトがあり、扉は木でも足元にはアルミを使うといった違う素材を組み合わせたデザインをクリナップらしさとして打ち出しました。ただ、今ではデザイン性という点で少し物足りないように思います。そこでステディアでは機能面だけでなくデザイン性に力を注いで開発しました。

──中高級品のシステムキッチンの販売に注力するということですが。

システムキッチンの全体市場をみると、高級品は前年比107%、中級品は前年比101%、普及品は前年比106%となっており、このうち中級品は一昨年が110%と比較的堅調に伸びています。市場の需要が高いのは普及品ですが、会社として利益が獲得できる商品は中高級品でもあります。市場の伸びという理由と経営上の観点からも中高級品を伸ばしたいと思っています。

一方でイタリア製の「Valcucine(ヴァルクチーネ)」は中高級品のラインナップよりさらに上の富裕層向け商品として位置付けています。これをクリナップとしてどう販売するのかも考えていかなければいけません。クリナップというブランドに対する評価を一層高めるためにも、販売にむけた様々な取り組みを進めていきたいと思っています。

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