「関係人口と住まい」【前編】定住だけがゴールじゃない“関わり”が衰退地域を元気づける

ローカルジャーナリスト 田中輝美氏

人口減少で衰退にあえぐ地域が増えるなか、「関係人口」が地方創生のキーとして注目を集めている。観光による「交流人口」でも、定住による「定住人口」でもない第3の人口──。関係人口とはどういったものか、そして今なぜ重要なのか、島根を拠点に関係人口を研究するローカルジャーナリストの田中輝美氏に聞いた。

──まず、関係人口とはどのようなものか教えてください。

ローカルジャーナリスト・田中輝美/地域に暮らしながら、地域のニュースを外に発信、記録する「ローカルジャーナリスト」。1976年、島根県浜田市生まれ。1999年、大阪大学文学部卒業、山陰中央新報社入社。2008年、企画「医変―地域医療の存亡」でファイザー医学記事賞大賞。2011年、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)を設立し運営委員に就任。2013年、琉球新報社との合同企画「環(めぐ)りの海―竹島と尖閣」で日本新聞協会賞。2014年、山陰中央新報社を退社し、独立。『関係人口をつくるー定住でも交流でもないローカルイノベーション』、『ローカル鉄道という希望―新しい地域再生、はじまる』など著書多数。

これまで人口減少に悩む地域は、「交流人口」(観光などで訪れる人)と「定住人口」(定住する人)を獲得することで地域の活性化を図ろうとしてきました。しかし、課題もあります。

定住人口については、日本全体の人口が減少しているので、どこかの地域が増えれば他の地域が減るというように、結局は全国の自治体で定住人口を奪い合うゼロサムゲームであるという問題があります。

交流人口については、地域の再生につながっているのかという疑問が指摘されています。地域が消費されるような状況も生まれており、「交流疲れ」と言われる現象も報告されているからです。

こうしたなかで“第三の人口”として注目されてきているのが、「関係人口」です。“観光以上、定住未満”として地域に関わる人を言います。その地域には定住してはいないけれど、様々なかたちで地域に関わり、一緒に地域を作っていく対等な“仲間”のような存在です。


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