ポラスグループの中央住宅は、地域の歴史を伝える蔵を「油長内蔵」として再生し、埼玉県越谷市に寄付した取り組みについて紺綬褒章を受章した。同社では、今後も地域に残る蔵や古民家を再生しながら、地域の価値を高める街づくりを推進していく方針だ。

ポラスグループの本社がある埼玉県越谷市は、旧日光街道の大規模な宿場町のひとつであった。街道沿いには蔵や古民家が点在している。しかし、所有者の高齢化などもあり、こうした歴史的な建造物の数も減少しており、かつての宿場町としての面影も失われつつある。

こうしたなか、中央住宅では蔵が残る土地を取得、分譲住宅地を開発するプロジェクトが持ち上がった。プロジェクトを進めるなかで、地域の歴史的景観を維持・保全していくためにも、蔵を壊すのではなく、再生することを決定。取得した土地に残る蔵のうち、比較的損傷が少なかった内蔵を「油長内蔵」として再生した。再生後の蔵を中心に4戸の分譲住宅も整備し、かつての宿場町としての歴史を伝える景観を作り上げている。

再生後の蔵は無償で越谷市に寄付し、地元のNPOや商工会議所などが活用している。現在は住まいや街づくり、空き家・空き地などに関する相談窓口として利用されているという。

今回、こうした取り組みが高く評価され、紺綬褒章を受章し、同社の本社で行われた同章の伝達式では、越谷市の高橋努市長から同社の品川典久社長に褒状が授与された。

高橋市長は、「個人の所有物であるため、なかなか市としても蔵の再生に向けた取り組みが難しい部分もある。それだけに中央住宅さんの活動は大変ありがたく、市としても市民の理解を得ながら、旧宿場町の面影を残していきたい」と述べた。

紺綬褒章の褒状を手渡す越谷市の高橋市長(右)と中央住宅の品川社長(左)

再生された「油長内蔵」。新たに建設された分譲住宅と共にかつての歴史の面影を残す景観を形成

古民家を賑わいの拠点に

一方、中央住宅の品川社長は「初めに土地を見た時から蔵を残すべきだと考えた。地域の価値を高めていくためにも、(地域に残る蔵や古民家などを)これ以上ひとつも壊したくない」と語り、今後も歴史的資産を活用した街づくりを進めていきたい考えだ。

既に旧日光街道沿いにある築120年の古民家(旧大野邸 秤屋)を取得し、「はかり屋」として店舗やレストランなどからなる複合施設として再生。この建物は中央住宅が保有し、地域の街づくりを推進する組織に貸し出し、その組織が中心となりテナントなどを募集する形で運営している。

同社では、今後も相続などによって売却されるタイミングで蔵や古民家を取得し、宿場町の面影を引き継いでいくような街づくりを進め、地域の賑わいの創出や価値向上に貢献していきたい考え。