手軽にできる断熱リフォームの認知度向上へ

現場発泡断熱材「アクアフォーム」を展開する日本アクアの業績が好調だ。
新築戸建ての施工実績は2016年に4万棟を突破。2017年の4万5000棟超えも目前だ。さらに、より小回りのきく施工機などを開発し、断熱リフォーム市場の開拓にも乗り出している。同社取締役リフォーム・ブローイング事業部の笹川真也氏は「住まいの高性能化が求められるほど、現場発泡断熱材の強みが活かせる」と話す。

日本アクア 取締役 リフォーム・ブローイング事業本部 笹川真也 氏

──現場発泡断熱材「アクアフォーム」の販売が好調です。

新築向けの施工実績として2015年に3万6200棟を達成し2016年には4万棟を突破しました。2017年9月時点での実績は、金額ベースで前年同期比16%増となっています。

現場発泡断熱材の強みは、材工込みの提供で施工現場の省力化に寄与できることです。断熱材の施工には手間がかかり、高い施工技術が求められます。職人不足問題が深刻化するなかで、より少ない職人でも対応できるように、施工現場の省力化を図りたいと考える工務店や住宅事業者からの採用が伸びています。当社では、自社施工に加えて、認定施工店に断熱施工を委託して行う独自の施工体制を整備しています。大阪営業所内にトレーニングセンターを設け、認定施工店には、現場発泡断熱材の取り扱いに関する研修を受けることを義務付けています。2017年10月時点で、認定施工店数は298社、3年前に比べて倍以上に増えています。さらに、全国に営業所を整備し認定施工店に対して受注案件の発注やアクアフォームの原材料の支給などを行っています。加えて、2016年から、当社のスタッフが現場を抜き打ちでチェックするパトロールも開始しました。施工品質をより高いレベルで確保するための仕組みづくりも強化しています。

職人不足問題とともに、2020年の省エネ基準業務化により、住まいの高性能化が求められていることも、現場発泡断熱材にとって強い追い風です。一般的に、住宅の性能が上がるほど、少しでも隙間があれば、結露を引き起こすリスクが高まると言われています。気密施工に対する厳しい品質管理が求められるのです。その点、現場発泡断熱材は、優れた柔軟性、接着性を備えており、吹きつけるだけの一工程で、断熱・気密化を図れるという強みがあります。高性能化が求められるほど、簡単に断熱性能の向上とともに気密性も確保できる現場発泡断熱材の強みが活かせると考えています。

ここ数年、住宅の高性能化のニーズを肌で強く感じています。8年ほど前まで、当社が手がける物件の9割で、現場発泡断熱材の厚みは50mmでした。一部、断熱性能にこだわるお客様に対してそれ以上の厚みのものを提供していましたが、今は、それが主流です。こうした住まいの高性能化を求めるニーズに応えるため、2016年に、アクアフォームよりも断熱性能を高めた「アクアフォームNEO」を発売しました。マンションなどで用いられている高性能な現場発泡断熱材を戸建住宅用として製品化したものです。また、より環境性能に優れた発泡剤HFOを使用していることもアクアフォームNEOの特長です。より薄い厚みで高性能化を図れる差別化商品として提案を強化していきたいと考えています。

そのほか、高性能化を図るだけでなく、様々な性能を付与した現場発泡断熱材の開発も強化しています。2017年8月には、防蟻・防虫性能を付与した現場発泡断熱材を発表しました。2種類の薬剤を配合することで、シロアリを死滅させる防蟻効果に加えて、ゴキブリなどの虫に対する高い忌避効果も発揮します。「アクアフォーム+TP」と「アクアフォームNEO+TP」という2種類の商品をラインナップしています。さらに、東京大学と共同で、不燃性能を付与した現場発泡断熱材の開発にも取り組んでいます。

──環境負荷低減を目指した取り組みも強化されています。

現場発泡断熱材をリサイクル利用する取り組みを2016年から開始しました。もともと現場発泡断熱材は、ビルやマンションで使用されてきたものですが、戸建住宅に加えて、ビルやマンションなども含めて、現場で発生する現場発泡断熱材の端材を回収し、当社の工場で、戸建住宅の小屋裏に吹き込むブローイング工事用の断熱材として再資源化する取り組みを展開しています。これは、原料の製造から、施工までを一貫して手がけるという当社だからできる取り組みだと自負しています。また、この取り組みについては、環境省が産業廃棄物法の特例として定める「広域認定」を取得しています。通常、事業者が廃棄物の運搬や処分を行うためには処理業の許可が必要で、日本全国から産業廃棄物を回収するためには、都道府県、市町村などから許可を受ける必要があるのに対して、広域認定では、広域なエリアを一括してカバーできるというメリットがあります。社会的責任から環境配慮の取り組みが求められる大手ゼネコンなどは、マンションやビルなどで発生する現場発泡断熱材の処理に困っていたのですが、当社の取り組みを評価いただき、ご相談が増えています。

現場発泡断熱材市場の拡大をけん引してきた同社。高性能化が求められるなかで、さらに存在感を高めていきそうだ

──断熱リフォーム市場開拓に向けての取り組みを教えて下さい。

2014年から、リフォーム専用のワンボックス型の施工車や、小回りのきく施工機器などを用意し、リフォーム市場の開拓に乗り出しています。戸建て住宅からマンションまであらゆる現場でアクアフォームを施工できます。リフォームでは、様々な現場の状況に対して柔軟な対応が求められますが、ここでも、現場の形状に合わせて施工できるアクアフォームの強みが発揮できると考えています。

断熱リフォーム市場の開拓は、新築向けとは異なる体制で進めて行く方針です。当社自身で施工部隊を持ち工事を受注しているほか、リフォーム加盟店の募集にも力を入れています。新築では、認定施工店に対して、当社の受注物件を発注するという形を取っていますが、リフォームでは、加盟店に対して、材料、ノウハウのみを提供し、当社と一緒に断熱リフォームの認知度を高め、市場開拓を進めていくというスタンスを取っています。2017年12月時点の加盟店数は55社となっています。2016年のリフォームの施工実績は約1500棟、金額ベースの実績は約4億4000万円でした。断熱市場の開拓を目指す上で、まず消費者の認知度を高めていくことが重要です。加盟店とともに、より簡単に断熱リフォームが行えるアクアフォームの強みを訴求し、市場拡大につなげていきたいと考えています。