ポラスグループ 中央グリーン開発 循環型ビジネスモデルの構築へ 戸建てリノベ事業なども展開
分譲地全体の価値を向上
ポラスグループの中央グリーン開発では、循環型ビジネスの構築へ向けて、過去に分譲した戸建住宅を買取り、リノベーションを施し再販する事業などを強化しようとしている。その他にも街の価値を維持・向上するために様々な取り組みを推進している。
中央グリーン開発は、「サスティナブルコミュニティは住む人を幸せにする」を企業ミッションに掲げ、自社で販売した分譲住宅のコミュニティを醸成するための様々な取り組みを行っている。また、2017年度から、このミッションを実現するために、CSV(社会価値の創造)推進室とブランディング課を新たにスタートさせている。
入居者交流会やコミュニティ活動の支援制度などを実施
コミュニティを醸成するための取り組みの一環として、「入居者交流会」を開催しており、2014年度は7回、15年度は20回、16年度は19回の開催実績がある。この入居者交流会を開催することで、新たな分譲地におけるコミュニティづくりの第一歩を支援している。
コミュニティサポート制度「マチトモ!」も行っている。この制度は、同社が供給した分譲住宅の居住者がコミュニティ活動などを行う場合、最大1万5000円の物品などを補助するもの。14年度の実績が13回、15年度が17回、16年度が19回となっている。
2014年12月に分譲事業が終了した「パレットコート七光台」では、販売拠点として活用してきた旧千葉支店の建物を住民の手で改装し、事業者を募りカフェとして活用するという取り組みも実施。建物の活用方法を住民自ら検討する「ミライ会議」も開催した。
「暮らしのコンシェルジュ」で様々な相談にも対応
住宅に関するワンストップの相談窓口「暮らしのコンシェルジュ」も開設している。メンテナンスやリフォーム、不動産の売買などについて、気軽に相談できる窓口で、反響数も2014年度の104件から2016年度は198件にまで増加しており、17年度は245件にまで達する見込みだという。
売却に関する相談も増えている。ポラスグループでは、メンテナンスの担当者や販売時の営業担当者が販売後もコンタクトをとっているが、ネガティブな理由などで売却を検討している場合、なかなか顔なじみの担当者には相談し難いケースもあるという。そこで、「暮らしのコンシェルジュ」に売却相談が寄せられることが多い。
中央グリーン開発だけでなく、ポラスグループでは、自社で販売した住宅の仲介を行う際には、分譲地全体の価値を適切に評価し、できるだけ高い価格で売却できるようにしている。他社の仲介によって販売される場合でも、ポラスグループの分譲地の住宅は周辺相場よりも高い値段で取引されるケースが多いという。中央グリーン開発でも、「暮らしのコンシェルジュ」などを通して売却相談があったものに対して、できるだけ高い値段で取引が成立するように心がけている。
戸建リノベで新たな価値を付与
一方で、売却相談があったものを自社で買取り、リノベーションを施し再販するという取り組みにも注力している。売却相談があった事例のなかには、できるだけ早く売却したいという要望もある。こうした際に、自社で買取り、リノベ物件として販売する。これによって、できるだけ早く売却したいという顧客のニーズを満たすことができる。加えて、リノベーションによって新しい価値を付与し、付加価値を高めた形で販売することで、街全体の資産価値の向上にも貢献すると考えている。「分譲地内の住宅が高値で取引されることで、街全体の資産価値が高まる。それだけに、リノベーションによって付加価値を高めていくことが大事だと考えている」(CSV推進室コミュニティ企画係・横谷薫係長)。
千葉県南柏で販売したリノベーション物件では、間取りなどから見直し、自然素材などを活かしながら従前の住宅とは全く異なる住環境を具体化している。この住宅は、2004年に完成した分譲地にあり、とくにリビング・ダイニング空間の再生に注力している。除去できない構造材などをあえて現しで利用し、壁を撤去することで開放感がある空間に作り変えている。また、あえて天井を低くする部分を設けて、自然素材に囲まれた「籠り感」も演出。
設計を担当した設計部設計監理課の鎌田浩之課長によると、「デザイン的に新しくするだけでなく、空間の居心地や質感も重要視した」という。
このリノベ物件は既に売却済みで、今後もリノベ戸建ならではの価値を訴求しながら、提案を進めていきたい考え。
中央グリーン開発では、分譲地のコミュニティ形成を促す取り組みによってソフト面での価値を高める一方で、リノベ戸建てなどによってハード面での価値向上も促すことで、資産価値を維持・向上する循環型ビジネスモデルを構築していきたい方針だ。
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