アキュラホームは戸建住宅で大規模開発事業に本格参入した。住民同士で様々なモノ・コト空間をシェアする仕組みを導入してコミュニティを醸成。1戸単体では実現できない価値をまちづくりを通じて創出し、“経年増価”する住まいの供給を目指す。

アキュラホームは東京都郊外の稲城市で51戸の戸建て分譲住宅「ヒルサイドテラス若葉台」(東京都稲城市)を開発、大規模分譲開発事業に本格参入した。2020年には年間200戸を販売する規模に戸建分譲事業を成長させていきたい考えだ。

同社では、これまで単独で数十戸規模の大型分譲を行ったことがなかった。このため、市浦ハウジング&プランニング社長の川崎直宏氏や横浜市立大学国際総合科学部教授の齊藤広子氏、アーバンセクション代表の二瓶正史氏、フルカワデザインオフィス代表の古川亮太郎氏などの専門家からの助言を得た。これにより、資産的にも精神的にも価値が“経年増価”する分譲住宅の供給が重要と考え、今後の大規模分譲開発の指針としていく。

宮沢俊哉社長は「まちづくりまで手掛ける大規模な分譲住宅開発を行うことで、一戸単体の住まいでは提案だけではできない価値の創出を図っていきたい」と語る。

資産価値維持のために管理組合を設置

「ヒルサイドテラス若葉台」では価値を“経年増加”させるまちづくりの一環として、美しい景観の構築に取り組んでいる。魅力的なランドスケープを追求し、区画数を減らしてまちに「余白」を創出。道路は一般的な直線ではなく、曲線形の緑が連なるグリーンベルトとすることで変化に富んだ景観を生み出した。建物配置や色彩の規制、電柱の地中化、アンテナや物置の配置位置など生活に関するものまで、細やかなルールを作成し、稲城市初となる景観協定を結んでいる。

また、「ヒルサイドテラス若葉台」では戸建分譲では珍しい管理組合を設置。緑地管理やコモンスペースの管理、デザインコードの管理などを行っていく。「マンションでは資産価値を維持するために管理サービスへの注目度が高まっている。これからは戸建の分譲でも管理が重要になる」(アキュラホーム住生活研究所 伊藤圭子所長)。同社では今後も20戸以上の規模の分譲地で管理組合を設置していきたい考えだ。

管理組合の活動費を賄うための新たな仕組みも設けている。各世帯に搭載された6~7kwhの太陽光発電で発電した電力を一括して売電する仕組みを導入。売電収入を管理組合の活動費に充て、余った分は各世帯の収入にする(月あたり5000円程度を想定)。 価値の維持・向上を図るまちづくりの一環として、あらゆるモノ・コト・空間をシェアする仕組みの導入も行う。

例えば、まちの中心には住民が空間をシェアして自由に利用できる共有施設「センターハウス」を設置。管理組合のミーティングや家族同士の交流、ライブラリー、ワークスペース、スポーツ観戦、カフェスペース、シアタールーム、子どもの遊び場などとして自由に利用できる。本や工具、グランピンググッズなどを無料で貸出し住民同士でシェアできるようにしている。

3~4住戸ごとに共有空間「コモンスペース」を設置。住民同士が気軽にコミュニケーションを図れ、自然に挨拶が生まれて交流できるようにしている。例えば、センターハウスでグランピンググッズを借りて、近隣の住民同士でコモンスペースで過ごすという使い方もできる。各住戸からコモンスペースに親の目が行き届くようにしているため、子どもたちはのびのび安全に遊べる。

住民同士が気軽にコミュニケーションを図れる共有空間「コモンスペース」を3〜4住戸あたりで一つ設置。自然に挨拶が生まれて交流できるようにしている

「ヒルサイドテラス若葉台」は東京都稲城市での51戸の大規模戸建て分譲住宅開発。周りには緑が多い環境

まちの中心には住民が空間をシェアして利用できる共有施設「センターハウス」を設置

自宅の外からも内からも出入りができ、自由な使い方が可能な居住空間「マルチパーパスルーム」を導入。様々な使い方が可能だ

住戸内には自由な使い方ができる空間

住戸についても、付加価値の高い住宅づくりを行っている。例えば、自宅の外からも内からも出入りができ、自由な使い方が可能な居住空間「マルチパーパスルーム」を導入。ポーチから直接、友人を招いてお茶会を開催したり、趣味のスペースとして利用する。床材は住戸ごとにフローリングや畳、タイル、コルクなど異なる素材を貼り分けている。

また、多目的空間「マルチユーティリティ」も導入。それぞれの家族の暮らしに合わせて、柔軟に利用できる。セカンドリビングやコレクションコーナー、家事スペースなど、家族の“あったらいいな”を実現する。

「ヒルサイドテラス若葉台」の反響は高く、事前案内での資料請求は約330件。マンションからの住み替えを検討する人が多かった。

販売開始時期は7月下旬で、価格は5000万~6000万円台を予定。近隣では野村不動産が同じくらいの価格帯で戸建分譲住宅を販売している。

数十年前に分譲された郊外の戸建住宅では空き家が増えて問題になっている。それだけに、アキュラホームのように管理組合を設置したり、シェアを切り口にコミュニティを醸成する付加価値の高い分譲地開発の流れは注目を浴びそうだ。

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