ハチドリ電力 小野悠希さん 誰かの「ひとしずく」が世界を変える

ハチドリ電力代表 小野 悠希さん

気付いたからには無視できない。その想いがやれることを広げていく。

ボーダレス・ジャパンが地球温暖化の解決に向けてスタートさせた電力サービス。それがハチドリ電力だ。代表の小野悠希さんは、学生時代にミャンマーとバングラデシュでソーシャルビジネスの現場を経験し、自らの行動を決める基準が変わったと話す。「なぜ、やるのか。誰のためにやるのか」。この行動基準に従い、ゼロ状態から電力サービス事業という、第三者から見れば「途方もない」と尻込みしてしまいそうなチャレンジをスタートさせた。

なぜ、やるのか、誰のためにやるのか
海外の社会問題に直面し変わった行動基準

ソーシャルビジネスで世界を変える。ボーダレス・ジャパンでは、世界15カ国で貧困、差別・偏見、環境問題などのソーシャルビジネスに取り組んでいる。メンバー自らが起業家となり、様々な事業を展開しており、社会問題をビジネスで解決するための挑戦を続けている。現時点では49名が会社を立ち上げ、社長としてソーシャルビジネスを行っているという。

その一人が小野悠希さん。もともと社会問題に興味があったわけではなかったという小野さん。当然ながらソーシャルビジネスの存在もほとんど知らなかった。

大学生になり、「行動力だけはあった」という小野さんは、自分が「面白そう」と感じたことに関わっていく。インターンシップにも積極的に参加し、人脈と見聞を広げていく日々。そんな日々のなかで、インターンシップ先でボーダレス・ジャパン内定者の先輩に出会う。

小野さんもバックパックを担いで海外旅行をするのが好きだったので、その先輩がミャンマーとバングラデシュでボーダレス・ジャパンの活動に参加するという話を聞き、一緒に行くことに。

多民族国家であるミャンマーは、建国以来、少数民族と国軍との紛争が長く続いてきた。その影響もあり農村部の発展は遅れ、生活のために必要な物資も高価で充分に買えない状況。そこで、ボーダレス・ジャパンのメンバーが、流通コストが高く買えない人のために流通コストを下げる物流サービスを行っていた。その様子を見た小野さんは、初めて社会問題に直面する。

しかも、ミャンマーで事業を行っているのは、自分とあまり年齢が変わらない日本人女性。人生をかけてミャンマーの社会を変えようとする女性を単純に「カッコいいなー」と思ったそうだ。その後、バングラデシュでの活動にも参加し、帰国した。

日本に帰国し自分が所属するコミュニティに戻った時、自分の変化に気づきはじめる。

「色々なコミュニティに首を突っ込んでいたので、『これ、一緒にやらない』といった誘いを受ける機会が多かったのですが、それまでは『面白そう』と直感的に思えば誘いにのっていましたが、ソーシャルビジネスの現場を経験してからは、『なぜ、やるのか。誰のためにやるのか』ということを自然と考えるようになっていました」(小野さん)。

そこからは、「なぜ、やるのか。誰のためにやるのか」ということがはっきりしないと、行動に移さないというふうに変わっていったそうだ。

何らかの仕事をしていると、「何のために、誰のためにこの仕事をしているのか」ということが見えなくなることが多々ある。その想いにフタをしてしまうことも少なくない。なぜ、小野さんはフタをすることなく、自らの行動基準を変えることができたのだろう。

そのことを小野さんに聞くと、「正直、自分でも分かりません。ただ、すごく覚悟を決めてという感じではなく、自然な流れでそうなりました。私は冗談で『ソーシャルビジネスの呪い』と呼んでいるのですが(笑)、社会が多くの深刻な問題を抱えているということに気付いてしまったからには無視できないという感覚でした」という答えが返ってきた。

小野さんは大学に入った時、将来は広告業界で仕事がしたいと思っていたそうだ。しかし、気付いてしまった。自分がやりたいこととは別の側面を社会が抱えていることを。

気付いたからには無視できない。小野さんはソーシャルビジネスへと、本格的に足を踏み入れていく。

4/6 18:00〜
「SDGs時代のビジネスプランを学ぶ」

ハチドリ電力代表 小野 悠希さんをゲストにお招きした無料セミナーを開催します。

次ページ:ミャンマーで痛感した何もできない自分
1年で帰国の途へ