高性能化に挑戦する住宅事業者をバックアップ 住宅用断熱材のトップランナーが新たな取り組み
硝子繊維協会が「グラスウールアクション2030」をスタート
住宅の省エネ性能向上に向けた動きが活発になるなか、住宅用断熱材でシェアNo.1を誇るグラスウールが新たな動きを始動させた。
省エネ基準の適合義務化の決定を受けて、住宅の脱炭素化に向けた動きが重要な転換期を迎えている。2022年10月1日からは住宅性能表示制度の断熱等性能等級の上位等級として等級6、7が新設されるほか、長期優良住宅の認定基準の要件も10月から引き上げられる。
行政側などの動きに呼応するように、多くの住宅事業者が住宅の仕様見直しに着手しており、より高いレベルの省エネ性能を標準化しようという動きが活発化している。
こうしたなか、グラスウールを製造・販売する企業などで構成する硝子繊維協会は「グラスウールアクション2030」を策定、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた新たな取り組みを開始した。
専用の特設サイトも開設し、「みんなのミライを、ココチよく。」をテーマとして、「高性能グラスウールの普及」、「住宅の高断熱化の推進」、「正しい施工の普及」という3つの活動を進めていく。
住宅用断熱材シェアNo.1としての役割
優れたコストパフォーマンスで住宅の高性能化に貢献
グラスウールは、ガラスを高温で溶かしてミクロン(1000分の1)単位の細い繊維を綿状にしたもの。繊維が絡み合う密度と繊維の太さによって断熱性能が変わり、最近ではより細い繊維で密度を高めることで優れた断熱性能を発揮する高性能グラスウールのニーズが高まっている。
コストパフォーマンスの高さも特徴のひとつ。硝子繊維協会によると「同じ断熱性能を発揮するためのコストを比較すると、他の断熱材よりグラスウールの方がコストパフォーマンスは高い」という。
同協会では、前出の「グラスウールアクション2030」の一環として、こうしたグラスウール断熱材の経済性の高さなどをホームページなどで訴求しながら、高性能グラスウールの普及を後押ししていく。
その一方で高性能グラスウールを使うことで実現する高断熱化住宅の普及促進も図る。高断熱住宅のメリットなどを一般の人でも分かりやすいように解説した記事や、高い性能住宅の実例などを紹介するコンテンツを広く発信していくほか、断熱等性能等級の等級5・6といったハイレベルの断熱性能を満たすグラスウールの仕様例なども示していく計画だ。
適切な施工で快適な住環境を実現
マイスター認定試験の受験料を半額に
住宅の断熱性能を向上し、省エネ化を図るだけでなく、より健康で快適な住環境を実現するためには、適切な断熱施工が不可欠となる。どんなに高性能な断熱材を採用したとしても、施工次第では完成後の住み心地などが低下してしまう懸念があるのだ。
硝子繊維協会では、いち早くこうした問題への対応を図っており、2005年6月から「グラスウール充填断熱 施工技術者講習会」と「グラスウール充填断熱施工技術 マイスター認定制度」をスタートさせた。施工技術講習会は、座学だけでなく、実際の現場での施工研修なども行っており、より実践的な講習として高い評価を得ている。マイスター認定制度は、施工技術講習会を受講したうえで、試験に合格した施工者を認定する制度。
「グラスウールアクション2030」でも、引き続き適切な施工の普及に注力していく考えで、具体的な取り組みとして「マイスター認定試験特別キャンペーン」を開始した。2022年9月~11月の3カ月限定で、マイスター認定試験の受験料を1万円から半額の5000円に引き下げる。ただし、1社あたり10名が上限としている。受講申込については、「マイスター認定試験」特別キャンペーン申込書を、硝子繊維協会加盟のグラスウールメーカー(旭ファイバーグラス、マグ・イゾベール、パラマウント硝子工業)経由で、協会に提出するという流れになっている。
また、同協会では、高断熱・高気密・耐震・耐火性能の向上に貢献する「GWS工法」も開発しているが、同工法の普及促進も図っていく予定だ。
ここにきて住宅のさらなる高断熱化に関する状況は大きく動きだそうとしている。住宅用断熱材のトップランナーであるグラスウールは、さらに先を見据えながら“ミライをココチよく”するために動きだした。
硝子繊維協会Webサイト
https://www.glass-fiber.net/
「グラスウールアクション2030」特設サイト
https://www.glass-fiber.net/gwa2030/
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