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2021.11.24

「つくるを売る」業界構造に力強く変革させる

NEXT STAGE 小村 直克 代表取締役社長

建築技術総合コンサルティングを手掛ける NEXT STAGE(大阪市阿倍野区、小村直克代表取締役社長)は、戸建住宅の施工及び販売を行う住宅会社向けに2022年2月にSaaS型クラウドサービス「QualiZ(クオリツ)」ローンチする。全国800社を超えるビルダーから選ばれている同社事業の真価、クオリツ開発の背景、狙いを小村社長が語る。

NEXT STAGEは、「QualiZ(クオリツ)」の記念フォーラムを、2021年12月6日(月)~10日(金)にオンライン開催する。参加費は無料。事前登録が必要となる。申し込みは、https://nextstage-group.com/lp/qualiz/ で受け付けている。
NEXT STAGE 代表取締役社長 小村直克 氏

クオリツの開発の背景には、
「つくる」業界構造
改革への想い…

ネクストステージは、年間約5000棟の住宅製造プロセスにおける第三者ヒンシツ監査を実施し、累計で約20万工程の情報を蓄積してきました。こうした第三者ヒンシツ監査サービスなどで培ってきたノウハウ、蓄積してきたテクニカルビッグデータを活用して、2022年2月、ヒンシツの可視化を価値に変える!をコンセプトとしたヒンシツアナリティクスクラウド「QualiZ(クオリツ)」の提供を開始します。

クオリツは、当社が15年にわたり培ってきた住宅の製造プロセスにおける品質に関するテクニカルビッグデータを駆使し、あらゆるセグメントで品質の評価、分析、スコアリング、そして改善計画までを一気通貫で実現できるSaaS型のクラウドサービスであり、業界をあるべき姿へ近づけるために本質的なDX化へ貢献したいという、そんな深い想いが詰まったサービスなのです。

第三者検査事業からスタート
建築技術を真っすぐに探求してきた唯一の企業

当社は、2006年8月に創業し、住宅の施工品質に特化した第三者検査事業からスタートしました。

今でこそ第三者検査は普及し当たり前のサービスになりましたが、当時はまだ住宅瑕疵担保履行法が施行される前。家を建てれば売れる時代でもあり、ビルダーに飛び込み営業を行っても、「面白いことやっているね。いいことだけど、コストがかかるからいらないよ」と言われることがほとんどだったことを覚えています。

「瑕疵担保履行法がこれから開始されるのに、民間会社がなぜ第三者検査事業なんか始めるのか」とよく聞かれましたが、それは当時、自身のインスピレーションが働いたからとしか言いようがありません。将来のマーケットを予測しても、職人や現場監督が不足することによる影響から、施工品質は崩壊し、必ずや住宅品質が適正に評価される環境が必要となる。そして、施工品質が、住宅事業者がユーザーから適切に選ばれるための一つの選択肢になっていくに違いないと感じていたのです。

多くの施工現場から「施工ヒンシツ」の現実を直視し、人一倍の危機感を持つ

この第三者検査事業を時間とともに日々探求していくにつれ、強烈な危機感に襲われるようになりました。それは、消費者クレームの恐ろしい増加傾向に対して、住宅事業者各社の施工管理体系や目指すべき基準が定まってない中、製造関係者個人に任せ、住宅を供給している姿でした。

逆に我々検査会社もそうであり、それを抑制するためのサービスであるはずが、判定する基準すらないのに、検査会社がつくった一律の検査項目で、〇や×をチェックしなければならない。そして検査を行う建築士の知識や経験値など、属人的な要素に委ねられる部分が多く、どうしても検査の品質そのものにも、ばらつきを感じていたのです。

住宅の施工品質を管理する上で、法令でカバーできる領域には限界があり、建築基準法と瑕疵担保履行法という2つの法的基準として定められている領域は、施工管理全体における約2割以下でしかないことに気付いたのです。またフラット35などの共通仕様書に基づく指針や、資材メーカーの施工要領書を引っ張ってきても、約4割近くは、施工技術指針が全く存在せず、結果、現場監督や職人の経験値とスキルによって判断して工事が進んでしまっていたのです。そのため、住宅の施工品質にばらつきが生じやすく、結果的に住宅産業はクレーム産業と言われることに拍車が掛かり、何かしらの瑕疵、トラブルが生じることが当たり前になっていったと言えるのです。

こうした実態があることを、エンドユーザーはもちろん、住宅業界の人間ですら、ほとんど知らないのが現実でした。

今や建築業界のスタンダード NSの「標準施工手引書」

住宅の施工品質を向上させ、安定化するには、第一に住宅事業者が自分たちの施工品質基準を定め、明確にすることから始める必要があります。扱う設計仕様やスペックに沿って、どのレベルを目指すのかという自社基準を明確に定めることで、人的裁量にゆだねることなく、同じモノサシで施工管理ができるようになり、最終的には品質のバラツキを抑制することに繋がるのです。

そこで、2013年4月、施工品質基準の作成を支援するサービスをスタートしたのです。

施工の手順や、誤差何㎜までを許容するのかといった範囲まで含めた納め方などを職人目線で図解した「標準施工手引書」を作成し、職人や現場監督といった製造プロセスに関わるスタッフへの手引きとして利用することで、自身の行動管理の習慣化につながるよう、解りやすく工夫してきたのです。

品質管理をする上での法令の限界領域

施工品質分析アプリとして「GenKan‐NS」を業界でいち早く展開

ただ基準書だけを作って品質が向上するビルダーは多くはありませんでした。そこで、その基準に沿って実際の物件の品質管理がスムーズに行えるように、施工品質監査システム「GenKan‐NS」を業界でいち早く開発しリリースしたわけです。

Plan「施工管理の品質指針の策定」、Do「品質監査体制の構築と推進」、Check「現場の傾向と課題の分析」、Action「課題解決のためのアクションプログラム策定」というPDCAサイクルを回すナレッジマネジメントの仕組みも同時に構築しました。あいまいな基準に基づく「検査」ではなく、自社の施工基準に適合しているか否かを評価する「監査」という概念も同時に仕組み化したのもこの時期からでした。

住宅を建築する工程の中で、どうしても後戻りできないタイミングがあります。言い換えれば、ここなら直すことができる唯一のタイミングがあるのです。そうしたポイントをマイルストーンにした10回の監査タイミングを設け、その工程全てに品質に影響する内容を項目化(タスク化)させたものが「監査項目書」というものです。その監査項目に沿って適合しているか否かを、第三者の視点で評価を行うサービスが、「第三者ヒンシツ監査」というサービスなのです。

もう1つの特徴は、ISO29993という学習サービスの国際認証である「現場監査士認定制度」の導入です。適切かつ適正な監査業務の実現に向け、スキル・経験による判断のムラを解消するための学習環境も併せて構築し、推進したのです。

製造プロセスの可視化とナレッジ化で、ビルダーの改善計画を強化

GenKan‐NSを開発した背景には、「住宅の製造プロセスを可視化することによってユーザーに安心してもらいたい」という当初からの想いがありました。

GenKan‐NSの「施工品質監査アプリケーション」を用いることで、監査時の判定結果や改善写真、そしてあらゆる出来高情報をクラウドサーバーで管理・保管し、住宅完成時には1つの資産価値として「現場監査記録書」を引き渡し時に施主に渡すことができます。

一方で、製造プロセスの可視化は、ずさんな品質管理の住宅づくりを抑止する力にもなるのです。

ただし、製造プロセスを可視化するだけでは、十分ではありません。最近では、生産性向上のための施工管理ツールを工事関係者間でシェアし運用されてきていますが、こうしたツールの活用が結局作業化し、本質的な生産性向上や技術スタッフのスキルアップとは真逆の方向に働いてしまっていることも否めません。

これでは主体業務を付帯業務へ変異させ、付加価値生産性をますます降下させます。本来、施工管理として一番重要なことは、その施工が、正しいのか、間違っているのかを判断し、間違っていればすぐに是正するという主体業務としての仕事に価値を見出すことです。

本質的な生産性向上は、ムリ・ムダ・ムラの排除の結果が成果であることを再認識することが重要です。

クリティカルな切り口から適切に解消していくことが本当の改善なのです。

プロジェクトマネジメント型からプログラムマネジメント型へ

施工管理のプログラムマネジメント化なしにヒンシツや生産性向上はない

もし1つの現場で何か問題が起きていれば、他の現場でも同じような事象が起きる可能性は高い。

日常の施工状況の事象を素直に、そして愚直に良いことも悪いことも含めて社内で共有し、そしてナレッジさせ、改善計画に転換していくことが重要になります。

だからこそ、当社のGenKan‐NSを活用し、PDCAサイクルをしっかり回すことで、品質を安定させ、向上させることにつながるのです。

しかし、住宅の高性能化が求められる市場でありながら、木造住宅の製造現場では、職人不足と共に、現場監督の不足も深刻化しています。

限られた数の現場監督で、許容範囲以上の施工現場を同時並行で担当しなければならず、そもそもの役割も明確でない中で段取り屋さんのように理不尽な付帯業務にに追われ、現場監督が本来すべき主体業務ができない環境になっているのです。

また、設計通りに現場が施工されているのか、設計通りの性能が確保されているのかを管理することも現場監督の重要な仕事ですが、このような環境下で、性能担保も危うくなってきています。

規格化が進む住宅には、なおさらこのような環境に適応した工業製品と同じような新しい施工管理マネジメント体系、つまり仕組みで管理するプログラムマネジメント体系が求められてきているのです。

「つくるを売る」希少価値な時代だからこそ、「クオリツ」を開発

当社は、15年以上にわたり、約800バージョンの施工品質基準の作成をサポートしてきました。

2021年1月までに、累計約20万工程の第三者ヒンシツ監査を実施し、蓄積する品質評価の写真データは約450万枚以上にも上ります。

在来軸組工法はもちろんのこと、2×4工法、クローズドな木造のパネル工法、ログハウスに加えて、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、さらにリノベーションまで、日本の住宅の様々な建築技術に関するテクニカルビッグデータを蓄積してきました。そして、それぞれの工法や構造、仕様において、どのような納まりが適切なのか、あるいは、どのような納まりだと後々問題が生じにくいのか、といった情報を把握しています。
これだけのテクニカルビッグデータをすべての施工工程単位で保有するのは、当社だけの強みだと自負しています。

こうしたテクニカルビッグデータ、ノウハウを仕組み化し、体系化とメソッド化において汎用性高くデジタルで組み合わせたものが、SaaS型のクラウドサービス「クオリツ」なのです。住宅製造のあらゆる基準のセットアップからシェア、そして施工プロセス評価からあらゆるセグメントでのスコアリング、さらには導き出されたスコアからの改善計画までを一気通貫させ、クラウド上でPDCAを高速回転させるのです。

「施工管理」を作業として便利に効率化させるツールは世にたくさんリリースされていますが、このヒンシツアナリティクスクラウド「クオリツ」は、誰もが簡単に踏み入れられない奥深い本質的な技術領域の品質改善を促すものであり、きっとプロフェッショナルな高いベネフィットを生み出してくれるに違いありません。

業界屈指の圧倒的な製造プロセスでのデータストック量
加速的なデータストック成長率の礎は、独自のビジネススキームに隠されている

品質管理費用は原価 見える化した評価を家づくりの指標に

クオリツによって、何かすごいことをしようとは思っていません。ただ非常識が常識化している住宅業界の現状を正常化したいと思っています。

例えば、飲食事業者でさえ、仕入れる食材がどこで生産され、どんな状態なのか品質管理を行うことは当たり前のことです。しかし、住宅業界は製造業でもあるのにかかわらず、売る部分を重視するあまり、品質への優先順位が低い印象があります。品質管理にかかる費用をコストだと考えている方が多く、中にはタダだと考えている方もいます。製造業であるからには、品質管理にかかる費用は、コストではなく原価であるということを住宅業界の常識として定着させていきたいですね。

クオリツの提供を開始することにより、ヒトやモノに対しての評価がしっかり蓄積されていきます。これは決してネガティブな発想ではありません。具体的には、業者別、スタッフ別などの仕事の成果に対するスコアリングを可視化することができたら、各々のシゴトへの成果や製造された建物の成果までもが定量的に評価されていくのです。

高い評価を得た建物は、より高く売買されるようになり、高く評価された職人は、より高い賃金をもらうことができるようになり、高く評価されたビルダーは、顧客の信頼を獲得して販売量や利益率を伸ばすことができるようになるでしょう。これが本当のトランスフォーメーションのスタートであり、本質的なプライオリティの時代だということなのです。

社会資産を形成する業界人の倫理観と、製造を担う人たちの地位向上が鍵

私は決して、安い家がダメだとは思いません。そうでなければ、例えば世の中の自動車は、メルセデスとレクサスだらけになってしまう。軽自動車が主流の日本では、住宅も経済的ニーズがあって然りです。考えてみてください。経済的な軽自動車には故障が多かったり、隙間風が入ってくるわけでなく、安いなりの確実な品質はしっかり確保されています。

住宅も同じように、「ほかの住宅よりも少し性能や仕様、資材スペックは落ちますが、経済的で品質だけは間違いないです」というような業界であってほしいものです。

いい住宅づくりを行っている住宅事業者がちゃんと市場で評価され、そしてその建物が選ばれ、その利益で正当な対価を職人に支払うことができる。また、ユーザーも、建物の評価を元に納得して住宅を購入できるようになる。そして何より、一回性産業である新築住宅事業こそ事業者が倫理観を持ち、ユーザーにとって安心できる契約社会を実現したいものです。クオリツによって、住宅ビジネスを変え、そんな正しい業界を実現していきたいと考えています。

NEXT STAGEは、「QualiZ(クオリツ)」の記念フォーラムを、2021年12月6日(月)~10日(金)にオンライン開催する。参加費は無料。事前登録が必要となる。申し込みは、https://nextstage-group.com/lp/qualiz/ で受け付けている。

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ハウジング・トリビューンVol.631(2021年22号)

特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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