シリーズ「賞味期限30年の住宅」【第2回】
経済合理性や建築家へのチャンスも
欧米では住宅を適切にメンテナンスし100年以上住み継いでいく一方で、日本では築30年程度で取り壊し建て替える―。諸外国と比較して特異な特徴を持つ日本の住宅市場について、デザインオフィスBureau 0–1(ビューロー・ゼロ・トゥ・ワン)の代表取締役で建築家のカズ・ヨネダ氏に聞く、シリーズ「賞味期限30年の住宅」の第2回。
賞味期限30年はマイナスばかりではない
経済合理性や建築家へのチャンスも
──カズさんが「賞味期限30年の住宅」と表現されている、スクラップ・アンド・ビルド型の日本の住宅市場の構造について、一般的にはネガティブに取る人が多いと思いますが、ヨネダさんはポジティブな面もあるとお考えですね。
ものごとは、多面的であり、白か黒かでは見ることはできないと考えています。つまり、ネガティブとポジティブの両面があると考えています。また、私は日系アメリカ人二世というバックグラウドを持っていることもあり、欧米と日本のどちらにも偏らない第三者的な見方で見ているということもあるかもしれません。

「賞味期限30年の住宅」のポジティブな面の一つは、経済的な側面です。
建築家に設計を依頼する場合、日本の新築住宅は欧米に比べるとかなり安価です。グレードにもよりますが、日本では、建築家に依頼しても、だいたい3000万円の予算があれば100平米くらいの広さの家を建てられます。一方で、欧米では建築家に依頼すると同じ敷地面積で1億円くらいのコストが必要になります。加えて、欧米では新築費用に加えてメンテナンスコストも掛かりますので、いくら長く住めると言っても、30年ごとに建て替える日本の住宅の市場構造の方が、経済的に理にかなっていると言えるケースも多くあるでしょう。
また、若手建築家にチャンスがもたらされる機会が増えることもポジティブな側面です。30年ごとに建て替えるということは、それだけ建築家にとっても住宅を設計できるチャンスが増えるということです。特に、設計のチャンスを必要としている若手建築家にとっては良い環境であると言えます。
──ポジティブな面の一方で、将来的には新築が減少傾向にあるなかで、既存住宅市場を伸ばしていく必要もあります。ただ現状は米国などと比較すると、うまくいっているとは言えない状況です。
私は築100年程の大正時代の古民家に住んでいますが、もともと日本の住宅はしっかりとメンテナンスをすれば長持ちするようにできています。また、今の日本の住宅は構造躯体がしっかりしているので、本来は外壁などをしっかりとメンテナンスすれば長く持つはずです。
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