2026.9.11

積水化学工業、工業化住宅技術で豪州の住宅不足解消へ 豪オースビルドを連結子会社化

約372億円の過去最大規模のM&Aを実施

 

積水化学工業は9月10日、全額出資子会社を通じて豪州クイーンズランド州(QLD州)の宅地開発・住宅大手「Ausbuild(オースビルド)」の株式51%を取得し、連結子会社化すると発表した。取得価額は約3億3500万豪ドル(約372億円)で、2027年1月に株式譲渡を実行予定。同社住宅カンパニーとして過去最大規模のM&Aとなり、日本で培った工業化技術(モジュラー工法)を強みに豪州市場へ本格参入する。

長期ビジョン「VISION 2030」実現に向けた「仕込み」と位置付けつつも、オースビルドがブリスベンを中心に2500〜3000区画規模の開発用地を保有していることから早期の成果創出も目指す。

背景には、人口増加に伴う慢性的な住宅不足や、2032年ブリスベン五輪を控えた需要拡大の一方で、建設労務費高騰や人手不足が深刻化するQLD州の課題がある。規格化住宅の受容性が高く、州政府も省施工・短工期のモジュラー工法に関心を示すことから、参入を決断した。

1988年設立のオースビルドは、用地取得から開発、建設、販売までの一貫したプラットフォームを持ち、年間約700〜800棟を供給する。2026年6月期の売上高は約6億5900万豪ドルで、2025年度州ホームビルダー着工件数でトップ5に入る大手だ。

子会社化により、現地の豊富な開発用地や体制を活用し、戸建・分譲住宅の供給拡大を目指す。特にタウンハウス事業においてモジュラー工法による短工期・高品質な供給を実現し、競争力を強化する。モジュラー工場は大型分譲地近隣での小規模稼働からスタートし、3年以内の成果創出を目指す。

また、太陽光発電や蓄電池、HEMSなどの省エネ技術に加え、洪水被害が多い同州において貯水ノウハウを生かした水災害に強いまちづくりも推進する。清水郁輔代表取締役社長は「日本の『あさかリードタウン』などの実績を生かしたレジリエンスなまちづくりを推進し、住宅以外のシナジーも生かしたい」と述べた。なお、将来的に株式所有割合を90%まで追加取得する予定だ。 日本の工業化住宅技術やノウハウで海外の課題解決に挑む同社の取り組みは、グローバル展開の先進モデルとして注目されそうだ。

住宅カンパニーの海外展開について「今は成長期待事業として扱い、経営資源を配分しているが、将来的には成長けん引事業となるよう経営を行っていく」と話す清水郁輔 代表取締役社長