New   2025.12.25

タカラスタンダード、ホーロー技術生かし宇宙産業参入へ

2035年度から収益事業化目指す

 

タカラスタンダードは、長年培ってきたホーロー技術を生かし、宇宙関連産業への参入に挑戦するための「宇宙プロジェクト」を始動した。

近年、世界の宇宙産業市場は急速に拡大しており、日本でも2030年代の早期に8兆円規模に拡大する目標が掲げられている。同社は、住宅設備機器事業に次ぐ新たな事業の創出を目的とし、2025年1月に「ビジネスディベロップメント本部」を新設。新事業の候補の一つに選んだのが宇宙関連事業だ。

これまで住宅設備機器の分野で展開してきた同社のホーローは、耐久性・耐腐食性・清掃性などに優れる点から高い評価を得てきた。今回、宇宙空間の真空と厳しい温度環境を再現した「熱真空試験」や、 ロケット打ち上げ時の振動による影響を調べる「振動試験」を行った結果、同社のホーローは過酷な宇宙環境下でも問題なく性能を発揮できる可能性が高いことが分かった。

ホーローの熱真空試験の様子

また、月面においては地表面の砂(レゴリス)が主にガラス質の微小粒子で構成されていることから、これをホーロー製造の原料として代替利用できる可能性もある。

こうしたポイントを強みとし、月面基地の建材や宇宙モジュールの内装・水回りなどに活用していきたい考えだ。

今後は、ホーローの宇宙環境へのさらなる適合性を確かめるため、放射線試験などの追加の環境試験を実施する。さらに、実際にレゴリスを用いたホーローの生産や、高温の焼成炉で焼き付けるホーロー製造に太陽光などの熱線を利用するといった製造プロセスの検討を進める。

2030年までには宇宙空間でのホーローの用途開発を行い、2035年度からの収益事業化を目指す。