2025.11.5

国交省、若年・子育て世帯の住宅取得支援など当面10年で加速

新・住生活基本計画の中間とりまとめを公表

 

国土交通省は、2025年11月4日に新たな住生活基本計画の中間とりまとめを公表した。若年・子育て世帯の住宅取得環境の整備などについて、当面10年間で取り組みを強化する考えだ。

住生活基本計画とは、国民の住生活の安定化や向上を図ることを目的とし、住生活基本法に基づいて策定するもの。概ね5年ごとに改定することになっている。

今回の中間とりまとめでは、これまでの議論を踏まえて住宅政策の課題を「住まうヒト」、「住まうモノ」、「住まいを支えるプレイヤー」の3視点に整理。その上で、それらに係る11項目について「当面10年間で取り組む施策の方向性」と「2050年に目指す住生活の姿」を示した。

国交省資料より

この11項目のうち、「住まうヒト」に係る「過度な負担なく希望する生活を実現できる環境整備」では、今後10年で都市部の若年・子育て世帯などが手頃な価格で良質な住宅を購入・賃借できる体制の強化に取り組む。

この具体施策のイメージとして、周辺環境が優れた空き家の官民連携での活用促進や、UR団地等への子育て世帯の優先入居の促進、海外のアフォーダブル住宅政策の調査と国内への導入検討などを挙げている。

これらへの取り組みを通じ、2050年には誰もが比較的安価に優良な住宅の確保・取得が可能となる市場の形成を目指す。

また、「住まうモノ」に係る項目では、住宅ストック政策を重視。長期優良住宅の普及支援、耐震改修や省エネリフォーム・バリアフリーリフォームの促進などを図る。

なお、長期優良住宅については、現行の住生活基本計画で普及目標を公表済み。2030年までに認定取得の住宅ストックを250万戸に拡大するとしており、この着実な達成を目指す。

さらに、ストック政策では質の高い住宅の流通を促すため、ストックの性能や価値が市場で適正に評価されるシステムの構築も進める。具体的には、国・地方公共団体(行政)、関係機関、関連事業者等と連携した住宅の維持管理・継承を推進。加えて、住宅の適切な維持管理を行った場合にインセンティブが付与される環境の整備などを行うとしている。

今後は、11月26日に開催の社会資本整備審議会住宅宅地分科会で新計画の素案を提示予定。26年2月16日の同分科会で議論し、3月の閣議決定を見込む。