New   2025.8.27

国交省住宅局、R8年度予算に2000億円超要求

防災、ストック活用、省エネなど重点に

 

国土交通省は、令和8年度予算概算要求額として7兆812億円を要求。このうち、住宅局関連の要求額は前年度予算の1.2倍の2068億円となっている。

重点施策として打ち出したのは、①住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備、②既存ストックの有効活用と流通市場の形成、③誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保、④住宅・建築物における持続可能な社会の構築―の4つだ。

①では、豪雨災害が頻発化・激甚化していることを踏まえ、新規事業として「住宅市街地総合整備事業(水害対策型)」を創設する。住宅市街地における水害対策を総合的に支援していく方針だ。

「建築物耐震対策緊急促進事業」、「住宅・建築物耐震改修事業」も延長・拡充し、住宅等の耐震化・建替えなどを引き続き支援していく。住宅については、令和5年時点で約90%の耐震化率を、令和17年度までに概ね100%とする目標の達成を目指す。

加えて、被災者の受け入れ拠点を整備する「災害時拠点強靭化緊急促進事業」の延長・拡充や、密集市街地での延焼防止などに取り組む「密集市街地総合防災事業」の拡充も見込む。

②で新規創設する事業が、「住宅ストック循環促進事業」だ。中古住宅の購入希望者は、「(物件が)きれいであること」、「隠れた不具合がないこと」、「購入価格が妥当であること」などを求めているが、現在の市場ではこれらを同時に満たした住宅ストックが少ない。そこで、購入希望者が安心して取引できる環境の整備を図るため、住宅取引時における情報開示や、消費者支援体制の整備などを行う。

「住宅ストック循環促進事業」で目指すストック循環のイメージ

また、「既成住宅地再生モデル事業(住宅市街地総合整備事業)」も新設する。今後、高齢者世帯が保有する持家の相続などが進むことで、既成住宅地では空き家の増加が見込まれている。こうした住宅・宅地を有効活用し、子育て世帯などが暮らしやすい住環境を整備するため、調査・普及啓発活動や、対策の立案・深化を図る。

④の省エネ分野については、「省エネ賃貸住宅供給促進事業」を新規に設ける。今後も市場が堅調に推移すると考えられる賃貸住宅を対象に、ZEH水準の省エネ性能を確保するための支援を実施する方針だ。

住宅ローン減税延長も要求

なお、国交省はこのほど令和8年度の税制改正要望も合わせて公表。この中で、「住まいの質向上、無理のない負担での住宅確保」を掲げ、25年末を期限としていた住宅ローン減税の延長を求めた。住宅価格の高騰が続いており、引き続き購入者の費用負担を軽減する必要があると判断した。

ただ、対象となる世帯や物件、控除額など具体的な制度の中身については言及しなかった。