New   2025.3.6

YKKグループ、念願の売上1兆円企業に

24年度連結業績は増収増益

 

YKKグループの24年度推定連結業績は、売上高1兆36億円(前年比109.1%、計画比101.6%)、営業利益627億円(同113.6%、同99.9%)の増収増益を見込む。売上高は過去最高で、ついに1兆円の大台を突破する。特に、ファスニング事業が売上高4351億円(同114.7%、同106%)、営業利益(同153.3%、同123.8%)と好調で、全体をけん引した。

同グループは25年度からの新中計で「持続可能な未来へ、ともに発展」を掲げ、第7次中計の最終年度となる28年度に売上高1兆2426億円、営業利益1179億円の達成を目指す。また、初年度の25年度は売上高1兆326億円、営業利益684億円を計画する。

一方でAP事業は、24年度の業績が、売上高5624億円(同104.5%、同97.3%)、営業利益164億円(同64.2%、同59.6%)の増収減益と苦戦を強いられた。大きな要因として、第6次中計作成時にUSドルで110円だった為替が業績発表時点で152.63円と円安になっていること、資材や電力価格の高騰を挙げた。

こうした状況から脱却するべく、第7次中計では、「収益構造の変革」と「技術革新による価値創造」に取り組む。収益構造の変革では、国内においてリフォーム比率(売上高)を、28年度までに住宅事業50%(24年度から11ポイント増)、ビル事業37%(同17ポイント増)まで拡大する予定だ。住宅事業では大手リテール部門への営業組織を設立。ハウスメーカーのリフォーム部門やリフォーム専業店、家電量販店などに対して、地域ごとで対応していたものを全体で統括できるようにする。

以前から進めている高断熱窓化については、28年度までに住宅の高断熱窓(木製窓、樹脂窓、アルミ樹脂複合窓)化率を住宅事業で100%、ビル事業で25%にする。具体的には25年上半期に内窓の設置面が小さい既存物件に対応できる商品を発売する予定。この動きに伴い住宅事業ではオールアルミサッシについて27年度を目処に終了する計画だ。

また、製造供給体制の最適化として土地のある郊外での一括生産から需要地に近い場所での生産へ移行する。例えば、エクステリアでは、現在7割が九州製造所で生産しているが、フェンス、カーポートは今後、東北製造所に生産拠点を移し供給コストを削減する。

さらにデジタル・ロボット技術による製造ラインの無人化を目指し、25年度には戸車やねじなどの部品を生産する黒部越湖製造所の自動組み立てラインを夜間無人化。APW樹脂窓を製造する六甲窓工場についても第7次中計期間中に樹脂窓ライン夜間無人化を実現したい考えだ。

技術革新による価値創造では、25年度よりAI積算システムを開始し、図面からの拾い出し作業の簡略化を図る。

海外事業ではユニタイズドカーテンウォールなどによる欧州市場への新規参入として、R&Dセンターがあるドイツの開拓をねらう。

AP事業は、25年度の業績計画として売上高5875億円、営業利益172億円を設定。28年度には売上高7039億円、営業利益389億円を計画する。

なお、YKKは4月1日付で松嶋耕一氏が新社長に就任。経営方針説明会の席上で「ステークホルダーにしっかり価値貢献をし、社員がわくわくする活気ある会社にしていきたい」と抱負を語った。

グループの経営状況について説明するYKK・猿丸雅之代表取締役会長