注文住宅の87.5%に太陽光発電の設置求める
住宅トップランナー基準の改定で
国土交通省と経済産業省はこのほど、住宅トップランナー基準の見直しに向けた2省合同会議を開催し、新築の建売戸建と注文戸建について太陽光発電システムの設置目標案を公表した。2027年度までに、設置が合理的な住宅のうち建売戸建は37.5%、注文戸建は87.5%の設置を目指す。
住宅トップランナー基準とは、省エネ基準を超える省エネ性能の目標を定め、規定年次までにクリアすることを努力義務として課す制度。構造・設備が規格化された住宅を年間一定戸数以上供給する住宅事業者(建売戸建:150戸以上、注文戸建:300戸以上)が対象となる。
国は、第6次エネルギー基本計画のなかで30年度に新築戸建住宅の6割に太陽光発電を設置することを目標としているが、22年度の設置率は31.4%と半分にとどまる。住宅トップランナー事業者に絞ってみても、注文戸建は58.4%である一方、建売戸建はわずか8.0%となっている。
そこで、前回の会議において住宅トップランナー基準で太陽光発電の設置率に目標を設ける方針を示していたが、今回の会議でその具体的な目標設置率の案を示した。その際、落雪への安全性確保が必要な多雪地域や、効率的な発電が難しい都市部の狭小地などの住宅事情を勘案し、目標案では地域性や敷地の条件に配慮。こうした設置が合理的ではない住宅は全供給戸数のうち20%あると仮定し、今回は設置目標の対象外とした。
その上で、残りの80%にあたる太陽光発電の設置が合理的な住宅のうち、建売戸建は37.5%、注文戸建は87.5%の設置率を27年度までに目指す方針を掲げた。
こうした目標案に対し、会議では概ね賛成の声が聞かれた。
ただ、一部の委員からは「住宅への設置は重要だが、工場など非住宅への設置も徹底してほしい。国を挙げて普及促進を図っていることを対外的に示さなければ、国民は納得しない」、「現状で設置率が低い建売住宅への継続的な補助は不可欠」という意見も挙がった。
そのほか、今回の議題に関連する事項として、「新築の段階でPV設置を見送る場合でも、将来的に設置しやすい仕組みを構築できれば、後々のストック対策につながっていく」、「太陽光発電の関連製品として、蓄電池の設置についての検討も将来的には必要ではないか。熱波や地震、豪雨といった天災だけでなく、パンデミックなども含めたマルチハザード対策に再エネ利用によるエネルギー需給調整は重要となる」、「従来型のシリコン太陽電池からペロブスカイトなどの次世代太陽電池への代替施策、もしくは併用方法についても検討が必要になってくる」という意見も聞かれた。
なお、今後は年内にもパブリックコメントを実施し、25年春頃に公布・施行する予定だ。
国交省の試算によれば、代表的なモデル住宅(戸建)に太陽光発電を導入した場合、導入していない住宅と比べ年間エネルギー消費量を18.7%削減できるという。こうした導入メリットを訴求ポイントとし、国は引き続き太陽光発電の設置促進に注力していく。
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