Standard、3棟の木造住宅を1日で同時上棟
工業化の推進で人手不足など解消
静岡県沼津市のStandardは、工業化の推進に向けて、1日で3棟の木造住宅を同時に上棟した。
Standard(静岡県沼津市、有田晃一社長)は、静岡県の東部エリアを中心として、地域ナンバーワンを目指して事業を展開する工務店。
現在、新たな本社社屋を建設中であり、同じ敷地に3棟のモデルハウスも開設する。次世代型展示場として、リアルなサイズのモデルハウスを建築する一方で、VR画像などを活用した最先端の提案手法などを導入していく予定だという。
また、モデルハウスの建築に当たっては、ウッドステーションが販売する大型パネルを活用し、「木造住宅の工業化」にも取り組んでいる。
同社では、これまでも大型パネルを採用した実績を持つ。有田晃一社長は、大型パネルを採用する理由について、「今後、人手が不足するなかで、住宅業界は本当の意味で製造業にならないといけない。また、若い世代が高い品質と性能を備えた住宅を取得できるようにするためにも、製造業としての生産性を高めていく必要がある」と語る。
同社によると、延床面積30坪程度の一般的な木造住宅の場合、通常は約60日間の施工期間が必要だという。大型パネルを利用すると、これが37日ほどまで短縮されることが分かった。
なおかつ、工場で構造材、面材、間柱、断熱材、サッシ、一次防水まで一体化されたパネルを利用するため、1日で上棟できるだけでなく、施工品質の確保も行いやすいというメリットもある。
内装パネルや外壁材もプレカットを導入
3棟のモデルハウスの建築に当たっては、さらなる工業化の推進に向けて、同時に1日で上棟するというチャレンジを行った。
上棟当日は、3台のクレーンを使い次々と躯体を組み上げていき、想定以上のスピードで上棟まで行うことに成功した。
さらに、外壁材や石膏ボード、内装パネル、天井材などもプレカットしたものを利用することで、生産性を高めている。配管や電気配線などについても、より簡単に施工ができるものを導入している。
同社では、「工務店として、より良い住宅をより安く供給するだけでなく、供給戸数を増やしていくことで地域経済に貢献し、雇用を生み出すという責務も担っていると考えています。それだけに、今後も製造業として生産性を高めていくことにこだわっていきたい」(有田社長)と考えており、大型パネルをはじめたとして工業化手法に積極的に取り組んでいく方針だ。
人材確保のためにも工業化が必要
Standard 代表取締役 有田 晃一 氏
大型パネルなどによって木造建築の工業化を進めていくことは、人材確保という側面でも重要です。例えば、工業化を進めていくことで、若い現場監督であっても、短期間で仕事をこなせるようになります。また、現場の職人の方々とも対等の立場で話ができるようになります。
一方で、職人の方々の所得水準を上げるためにも、工業化によって生産性を高めることが大事になるのです。当社では現在、協力事業者の方々を11組のチームに分けて、仕事を行っています。1組当たり年間で8棟前後を担当しています。生産性が上がれば担当できる棟数が増え、結果的に年収もアップしていくのです。
こうしたことも考慮しながら、工業化を進めていくことも、工務店の役割なのではないでしょうか。
Standard 現場監督 白鳥 聖人 氏(写真左)
これまでも大型パネルを用いた現場を担当してきましたが、現場での作業は格段に楽になるという印象があります。その分だけ、着工までの段取りが多くなりますが、その点を考慮しても現場管理業務の負担は減ります。また、上棟後の散水試験に半日を使っていましたが、パネルを使うとその作業も必要ありません。
Standard 現場監督 梅原 魁人 氏(写真右)
入社して2年目になりますが、今回、モデルハウスの現場監督を行うことになりました。初めのことも多く、先輩にも色々と聞きながらの作業になりましたが、着工してからは想像以上にスムーズに進んでいます。また、経験が浅い若い監督であっても、職人の方々と同じ目線で話せるようになるため、若い世代が住宅業界に入ってきやすくなるのではないでしょうか。
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