建設テックでコロナ禍を乗り切る 支援の輪広がる

建設テックを活用して、新型コロナウイルス感染症による苦境を乗り切ろうという動きが高まってきている。無料で自社サービスを提供する企業も登場してきており、事態が収束した後の住宅ビジネスに変化をもたらすかもしれない。


CONITの現場管理システム「SITE」
CONITの現場管理システム「SITE」

CONITでは、6月30日までの期間、現場管理システム「SITE」を無償提供している(申し込み期限は5月29日)。「SITE」は、クラウドを活用した現場管理システム。案件管理やチャット、図面管理といった多彩な機能を備えている。ストレージが10GBと大容量である点も特徴のひとつだ。

BIMobject Japanの「BIMobject Cloud」
BIMobject Japanの「BIMobject Cloud」

野原グループのBIMobject Japanでは、「BIMobject Cloud」において、2019年度、2020年度発売の建材や設備、家具などの新製品や抗ウイルス製品の掲載無料サービスを実施している。申し込み期間は4月21日~6月30日。「BIMobject Cloud」は、世界中の建設資材や設備などのBIMコンテンツ(製品のデジタルデータ)を掲載する世界最大のプラットフォーム。欧米などでは、BIMを活用する際に「BIMobject Cloud」などに掲載された製品のデジタルデータを活用するため、新たなマーケティングプレイスとしても注目されている。

都市封鎖などが行われている欧州などでは、「BIMobject Cloud」上からのBIMオブジェクトのダウンロードが2月からの約2カ月間で約200%の成長率を記録しているという。BIMobject Japanでは、こうした状況を踏まえて、建築関連企業の事業継続計画をバックアップしていきたい考えだ。

助太刀では、建設業従事者のためのマッチングプラットフォーム「助太刀」について、年間プランを6カ月分無料で提供する取り組みをスタートさせている。「助太刀」は、施工事業者と発注者をマッチングするサービスで、登録事業者は13万人を超えている。76職種にわたる職人や施工会社と簡単に出会うことができる。

ICTなど活用による生産性の向上が遅れていると言われる建築業界だが、新型コロナウイルスの影響で事業を継続させるための方法として、建設テックの導入を検討しようという機運が高まってきている。今後、住宅業界でも、生産性向上と働き方改革を促す“住宅テック”によって、“アフターコロナ”の住宅ビジネスに変革がもたらされるかもしれない。

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ハウジング・トリビューンVol.610(2020年22号)

特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

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