AXが住宅経営を変える 人が人らしく働くことができる世界を目指して
ビジネスにおいてDXならぬAX時代の幕が上がろうとしている。住宅事業においても、AIによるデータの活用が新たな価値創出につながりそうだ。「AIが変える住宅営業」の最終回は、コンベックスの美里泰正社長と、アンドパッドの渡部耕太郎執行役員に、アンドパッドグループとしてどのような価値を提供しようとしているのか、また、AXで住宅事業者はどのように変わるのか聞いた。
――住宅事業における川上から川下までの情報の連携、さらには引渡し後までの情報の蓄積の重要性を説いています。具体的にどのようなことでしょうか。
渡部 ストック時代に長くお客様とお付き合いを続けることが重要となる中、商談段階での家族構成、お子様の年齢、打合せ内容、受注金額、さらには採用した設備や建材の点検履歴も含めてさまざまな情報を蓄積し、引き継いでいくことが必要です。
AI時代に、この蓄積した情報が大きな武器になります。例えば、AIエージェントが能動的にデータを見に行き、自動で「給湯器が交換時期を迎えています」とお客様に連絡したり、新築時から数十年後、お子様が家を出ているかもしれない時期にリフォームを提案したりと、建築当時の文脈を知るからこその案内が可能になります。
上流から下流までつながっているデータを蓄積し、それに基づいたAIエージェントが動くことで、最小の労力で最大の効果を出す住宅経営ができるようになると考えています。今後、AX(AITransformation)が急速に進むでしょう。お客様に選ばれる住宅事業者であり続けるために、早くから取り組むことが必要です。
美里 今後、経営の最適化が進むことは間違いありません。今の住宅事業はマーケティング、セールス、施工管理など「業」が個別に分かれています。例えば、マーケティング担当者がイベントを開催して人を多く呼ぼうと考えたら対応する営業マンが必要です。しかし、施工のキャパシティが足りなければ、集客投資が受注・施工につながらず、経営全体の効率を損ないます。本来は、年間の施工棟数から商談数を考え、どういうプロモーションが必要かを逆算していく必要があります。
同じデータを基にそれぞれの部署が専門的な対応を図り、経営者が全体の判断を行う。これまでは高度な技術や経験が必要でしたが、AIの支援によって、より現実的に取り組める環境が整いつつあります。そうした最適化を進めるうえで連携したデータの蓄積は欠かせません。
――「Digima AIエージェント」と「ANDPAD Stellarc」は、どう繋がっていくのでしょうか。
美里 「Digima AIエージェント」は、商談の流れに沿ってAIが自動でお客様のステータスを変えます。ゆくゆくは「ANDPAD」のステータスも自動で変更し、常に正しい状態が反映される仕組みの構築も視野に入れています。この連携に加え、商談内容の情報についても連携を構築中です。
お客様の相談内容の中には多くのヒントが隠されています。「Digima AIエージェント」で最初の接点から顧客の情報が蓄積されることで失注やマーケティング分析も行うことができます。新築時に予算の関係で諦めたプランなども顧客情報として残り、後々のリフォーム提案につなげることができます。双方のデータを活用することで、住宅の価値を長く保つための提案や、お客様のライフスタイルの変化に寄り添うプラットフォームを構築できると考えています。
渡部 最終的には、キャッシュフローや粗利予測にとどまらず、P/L予測までできる仕組み、住宅事業にフィットする経営AIプラットフォームを提供したいと考えています。
今、工程の遅延を予測するAIエージェントの開発を進めています。現場の状況について、ANDPAD上のやりとりや写真などのデータを基に、現場ごとの遅延リスクをAIが客観的に判定するものです。工程の遅延予測はキャッシュフロー全体の予測につながり、今期の売上予測にもつながります。
さらに、「Digima AIエージェント」との連携で、ロングタームのキャッシュフローや売上予測が立てられるようになります。また、契約から着工までのスケジュール、例えば確認申請や基礎の手配などの管理がよりスマートにできるようになると考えています。
――AIを導入することで住宅事業者の姿はどのように変わりますか。
渡部 一つは入力の手間がなくなります。音声データや写真データが自動で入力され、検査業務もAIが行います。これによって人は意思決定の部分によりフォーカスすることができるようになります。現場監督はバックオフィスでの入力作業や追加対応が激減し、本来注力するべき品質・安全管理に集中できるようになります。
また、先ほどお話しした通り、「高精度な経営の先読み」が可能になることも大きな変化だと思います。先行導入している企業からは、AIが客観的な予測を立ててくれることで、従来1ヶ月前に対処していたリスク事項が6ヶ月前に把握でき、打てる選択肢が増えたという声を頂いています。
人が本来担うべき付加価値の高い仕事に注力できる世界を実現したいと考えています。
美里 住宅事業、不動産事業は対面の商談や建築現場というリアルな現場があります。やはり人生最大の買い物ですから、住宅事業者様とお客様との間に目には見えない信頼関係が必要であり、ここが最も人間らしい仕事であるといえます。
私たちは、このフェイス・トゥ・フェイスの接点をどれだけ最大化できるかを考えています。それがお施主様にとって一番嬉しいことだからです。人のリソースには限りがありますから、AIによって効率化を図り、業務を代替することによって、人と人との良縁づくりに集中していただきたいと思います。
アンドパッドグループのプロダクトを導入することで、より人間らしい仕事に集中できる。それが、これからの時代の最大の競争力になると考えています。
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