2026.10.8

ヤマダホームズ、新耐力壁「DANパネル」を開発

木質接着パネルと在来軸組の技術を融合 壁倍率4.9倍・断熱等級6を実現

ヤマダホームズが、オリジナル耐力壁「DAN(ダン)パネル」を開発。このパネルを使った「DANパネル工法」を高耐震・高断熱、施工性、大空間・自由設計を実現する「第3の工法」として位置付け、住宅販売を推進していく方針だ。

ヤマダホームズが木質接着パネル工法と、在来軸組工法をハイブリッドした第3の工法「DANパネル工法」を開発した。
同社は、前身の会社であるエス・バイ・エルが1980年代から約40年間にわたり13万戸以上を供給し、阪神・淡路大震災や東日本大震災でも地震による全半壊ゼロを誇った「木質接着パネル工法」、在来軸組工法の接合部を強化した「ティンバーメタル工法」を主軸に新築住宅の供給を行ってきた。

DAN パネルの開発経緯について語る技術本部の山本眞也本部長

木質接着パネル工法は、工場で作った高強度の箱パネルを現場で一気に組み上げることで高い耐震性を確保できる。一方で、その性能を維持・保証するために厳しい設計制約が存在し、複雑・開放的な間取り要望には外部工法を頼らざるを得ない局面もあった。同工法は25年3月に告示され、26年5月には(一社)プレハブ建築協会が構造設計指針を公開。木質接着パネル工法を用いた建築物を誰もが設計できるようになった。それでも、「コストや手間がかかる面があり、普及には課題がある」と、技術本部設計部技術課の中西功氏は語る。

一方、国内で広く普及する在来軸組工法はオープン工法であり、プランニングの自由度が高い反面、耐震性や断熱気密性の確保が現場職人の施工技能に左右されやすいという課題を抱えていた。同社技術本部の山本眞也本部長は「安価で施工性が良く、安全に建てられる工法をつくれないか、と技術課に投げかけたのが約3年前だった」と開発の経緯を振り返る。
ただ、開発は一筋縄ではいかず、約3年におよぶ研究開発・実証期間を経て、25年7月の社内試験で目標性能をクリア。同12月に国土交通大臣認定の取得に至り、26年6月から「DANパネル」を使った工法を注文住宅主力商品「RASIO」のラインアップとして新たに加えた。

100年耐久の接着剤+釘が支える超耐力

DANパネル工法の技術的特長の1つが、木材同士を接着剤で一体化させる構造にある。一般的な在来耐力壁が合板を釘のみで留めたり、筋交いを金物で固定したりするのに対し、DANパネルは合板とパネル内の縦横の木製桟を「水性高分子イソシアネート系接着剤」で強固に圧着している。

この接着剤は工場管理下でのみ使用可能な特殊配合で、シックハウス症候群の原因物質を含まず、過酷な促進劣化試験によって「100年相当」の耐久性が確認されている。開発責任者の一人である技術課の中西氏は、「薄い合板と桟を一体化させることで、壁全体で揺れを受け止め、接着層がエネルギーを吸収する。制震ダンパーを付加せずとも、繰り返しの地震に対して高い剛性と耐力を維持し続ける」と構造の強さを説明する。

自社つくば工場の実大耐震試験機を用いた社内強度確認試験では、認定値の壁倍率4.9倍を大幅に上回る6.2倍相当の最大耐力を記録。破壊限界に近い力を加え、土台からパネル下部が浮き上がる極限状態においても、合板と桟の接着層は離れず、一体構造を保ち続ける粘り強さを実証した。

自社つくば工場の実大耐震試験機とDAN パネル。ここで約1tの力を受けてもびくともしないパネルの強さを実証した

つくば工場内に建てたDANパネル工法による住宅

第2の特長は、この高耐力パネルを柱・梁・土台のグリッド内にすっきりと納める建て方プロセスにある。柱と柱の間に厚みのあるパネルを隙間なく組み込むことで、外力に対してパネル面全体が抵抗する「応力外皮構造(ストレススキン効果)」を形成する。これにより、局所的な応力集中を防ぎ、建物躯体全体へと滑らかに荷重を分散させることができる。加えて、施工手順には「床勝ち仕様」を採用した。基礎土台および梁の上に、まず24㎜以上の構造用合板を先行して敷き詰め、フラットで強固な床面を完成させてから柱とDANパネルを立ち上げる。技術本部設計部省エネ課の皆吉隆司課長は、「従来のパネル工法のように壁を先行させる『壁勝ち』では、高所での足場が不安定になりやすく、施工精度や安全性に課題があった。『床勝ち』にすることで、大工職人は水平で安全な足場の上で作業でき、建て方作業の効率と安全性が劇的に向上する」と施工面の進化を強調した。


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