都市型戸建宿泊施設の最前線 「Hours House」が拓く新収益モデル

事例④ アグレ都市デザイン(東京都新宿区) 物件:Hours House高砂・立石(東京都葛飾区)

 

首都圏を中心に木造の分譲戸建住宅を展開するアグレ都市デザイン。同社の強みは、土地の仕入れから設計、建築、販売までを自社で完結させる「自社一貫体制」にある。

そのアグレ都市デザインが宿泊事業へ進出したきっかけは2023年11月、地方での別荘再生や宿泊コンサルティングに定評のあるハウスバードをグループに迎えたことだ。ハウスバードは、地方で眠っている別荘や住宅を「バケーションレンタル(宿泊施設)」として再生させるノウハウを持つ。

アグレ都市デザインの提供する「宅地開発力」と、ハウスバードの宿の立ち上げ実績による経験値を掛け合わせ、2025年3月から都市型戸建宿泊施設プロジェクト「Hours House(アワーズハウス)」を本格始動した。プロジェクトコンセプトは、都心の駅近「宿泊施設」という利便性を保ちながら、自分たちの「家」のようにも過ごせる空間を企画・開発すること。従来の「民泊」とも一線を画す、プロフェッショナルによる「都市型戸建宿泊施設」だ。

コストを抑えつつ最大限の収益を生む設計により、投資家・オーナーにとっては、自己利用も楽しめる宿泊施設の運用を最小限の労力で始めることができる。宿泊者、特に海外からのインバウンド客にとっては、日本の「和」や「暮らし」を体験できるハイクオリティな宿となる。

アグレ都市デザイン
アセットソリューション事業部
企画設計チーム 次長 小田洋介 氏

ハウスバード
竹内康浩 氏

様々な設計の工夫で都市型戸建宿泊施設を実現

現在、「Hours House」ブランドとして、東京都葛飾区高砂に2棟、東京都葛飾区立石に1棟の計3棟を展開している。このほか山梨県南都留郡の山中湖で、地方特化型ブランド「Hours Villa」として1棟を運営している。今後は、都市部では「Hours House」、地方では「Hours Villa」として、立地特性に応じて各ブランドを展開していく。

「Hours House」の設計においては、アグレ都市デザイン アセットソリューション事業部の企画設計チームの次長 小田洋介氏と、ハウスバードの竹内康浩氏が徹底的に議論を重ね、通常の戸建住宅にはない数々の工夫が凝らされている。

特に重視しているのは、建物全体の延床面積に占める賃貸可能な専有面積の割合「レンタブル比」である。

Hours House高砂の外観 下左:寝室として活用できるように配慮し、和室も設定

寝室として活用できるように配慮し、和室も設定

Hours House高砂のリビング。2階をリビングにすることで天井高を確保

スカイバルコニーからはスカイツリーを望むことができる

物件名 Hours House 高砂(2棟)
所在地 葛飾区高砂7丁目2
構造 木造2階建
用途 旅館またはホテル
敷地面積 64.11㎡/64.83㎡
床面積 82.81㎡/81.71㎡
建築主 ───
設計 アグレ都市デザイン
施工 アグレ都市デザイン

例えば1階を寝室、2階をリビングとする構成により2階の天井高を確保し開放感を演出。また、和室を「寝室」としてだけでなく、布団を敷けば「定員増」、昼間は「リビング」としても使えるように設計し、一つの空間に複数の意味を持たせることで、面積効率を極限まで高めている。

収益を生まない廊下なども取り払い、居室面積を広げることで、コンパクトな土地でも最大10名の宿泊定員を確保する。定員が多いほど1泊単価を高めやすい。

インバウンド・長期滞在を意識した間取り

Hours House立石の外観。最大9名が宿泊できる

Hours House立石ではリビングは2階と3階に設置

寝室にもシアタールームにもなる和室

寝室を1階に設置することで近隣への騒音対策と利便性を両立

物件名 Hours House 立石
所在地 葛飾区立石8丁目11
構造 木造3階建
用途 旅館またはホテル
敷地面積 53.07㎡
床面積 85.69㎡
建築主 ───
設計 アグレ都市デザイン
施工 アグレ都市デザイン

インバウンド・長期滞在を意識した間取りも特徴だ。

「Hours House立石」は3階建ての建物の、2階と3階に滞在時間の長いリビングを配置。天井を高く開放的にし、1階をスーツケースなどの荷物置き場や寝室にすることで、近隣への騒音対策と利便性を両立させている。

また、大人数での宿泊を想定し、1階と2階それぞれにシャワールームや洗面台を設置し、各フロアで完結した生活ができるように配慮している。

「清掃性」と「メンテナンス性」の追求

「清掃性」と「メンテナンス性」も追及している。宿泊施設において最大のランニングコストとなるのが清掃だ。見た目の高級感、本物感を出しつつ、汚れがつきにくく清掃しやすい素材を採用。例えば、和室の畳は、メンテナンス性の高い積水成型工業のMIGUSAを使用。障子も破れにくいプラスチック素材などを採用している。

小田氏は「すべてを本物の木や石にすると維持費が膨大になる。高級旅館のような雰囲気を出しつつ、投資家が負担を感じない『効率的な素材使い』にも配慮している」と話す。

法規制と保証
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