New   2026.2.25

小林住宅・創建、筑波大・柳沢教授と共同開発 「究極の睡パ住宅」で睡眠環境改善、健康住宅市場を強化

 

注文住宅専門メーカーの小林住宅(大阪府大阪市、吉村忠士 代表取締役社長)と、建築・不動産総合企業の創建(大阪府大阪市、吉村卓也 代表取締役社長)が、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授と共同で住宅環境の違いが睡眠の質(睡眠パフォーマンス=睡パ)にどのような影響を与えるのかを検証する実証実験を開始した。

日本人の睡眠時間は世界的にみても特異なほど低く、世界と睡眠時間の比較ではOECDに所属する33か国の中で最下位となっている。一方で、短時間睡眠の継続で脳のパフォーマンスは下がるが、眠気は実際のパフォーマンスの低下ほど感じにくく、慢性的な睡眠不足によって自覚がないままパフォーマンスが低下する恐ろしさがある。

特に、子どもの睡眠不足は脳の発育にも大きな影響を与えることが分かっており、東北大学の研究グループが行った先行研究※では、5~18歳の290人の睡眠時間と脳の様子の関係を調べたところ、睡眠時間が長いほど記憶をつかさどる「海馬」のサイズが大きく、睡眠時間が短いと海馬が小さい傾向にあることが判明している。

脳波とAIで睡眠の質を科学的に分析

実証実験に参画する関係者。左から小林住宅 岡村室長、創建 吉村社長、筑波大学 柳沢教授、慶応義塾大学 伊香賀教授 

:S’UIMIN(東京都渋谷区)が開発した睡眠計測デバイス「InSomnograf」

今回の実験の最大の特徴は、柳沢教授が取締役CSO会長を務める睡眠ソリューション会社S︐UIMIN(東京都渋谷区)が開発した睡眠計測デバイス「InSomnograf(インソムノグラフ)」の導入だ。インソムノグラフは、おでこと耳の後ろに電極を貼るだけで、場所を選ばずに医療レベルの精度で睡眠を調べることができるもの。計測データは即時に転送され、30秒ごとにAIが睡眠の状態を4段階で判定する。これにより、従来のアンケート調査や体の動きなどをもとに睡眠状態を推定する活動量計のみの評価に比べ、脳波に基づくより科学的な睡眠評価が可能となる。

実証では、同一の立地条件かつ、間取り・インテリアなどの見た目の条件を全て同じにしたうえで、睡眠の質に影響を与える4つの環境因子「温度」「音」「換気」「光」のうち、「温度」、「音」、「換気」に関わる住宅性能のみを変えた2棟の住宅を実験棟として建築した。

「温度」については、A棟では外断熱工法を用いた断熱性能等級6の家、B棟では内断熱工法を用いた断熱性能等級4の家を建築。

実験に使用する住宅の設定条件

「音」については、気密が関係すると考え、A棟では気密性能の高い樹脂サッシ・トリプルガラスのサッシを採用、B棟ではアルミ樹脂複合・ペアガラスのサッシを採用する。

気密測定では、A棟がC値0・2、B棟ではC値2.1を記録した。

「換気」については、A棟が機械給気+機械排気の第一種換気システム、B棟が自然給気+機械排気の第三種換気システムを採用。

「光」は、太陽光の影響を踏まえ、寝室・吹き抜けの窓に遮光カーテンを設置し、時間帯ごとに照度が変化する照明で睡眠に適切な状態にした。

被験者にはそれぞれの住宅に2~3日間ずつ宿泊してもらい、クロスオーバー形式で計測。睡眠後のアンケートによる主観的評価や、心拍変動の計測を通じたリラックス度等の調査も行い、多角的に評価する。なお、本実証においては、住宅の温熱環境を研究する慶應義塾大学の伊香賀俊治教授が全体的な部分での助言を行う。

柳沢教授は「先行研究は活動量計による間接的な評価が中心だったが、今回は脳波で非常に高精細に睡眠を測る。実際に住宅がどれほど睡眠に影響を及ぼすのかといった因果関係をつきとめたい。今回のように必要な性能以外を全く同じ条件にした実棟で睡眠という観点から実証を行った前例はほとんどないと思うので、得られる結果を非常に期待している」と話す。


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