New   2026.2.12

HEAT20 「夏期・中間期の性能水準」を考える講演会を開催

建築的な工夫で機械的な冷房に頼らない住環境の実現を

 

HEAT20((一社)20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)は、暖房負荷だけでなく冷房負荷にも新たな目標設定が必要と考え、戸建住宅の「夏期・中間期性能水準」を新たに策定、周知を図るための講演会を開催した。

気候変動により、高温多湿な時期が頻発・長期化し、それに伴い、高断熱住宅において、夏期、さらには中間期のオーバーヒート、空調依存、冷房エネルギーの増大といった課題が顕在化してきている。特に高断熱化を進める一方で、日射に対して無防備な住宅では、オーバーヒートが起こりやすくなる。

講演会でHEAT20の鈴木大隆 理事((地独)北海道立総合研究機構理事)は、「G2レベル以上になると日本の住宅では暖房負荷よりも冷房負荷の方が大きくなる傾向がある。特に宇都宮より南では、冷房負荷が50%を超える状況になっている」と説明。また、「この10年間で住宅性能と空調設備が大きく変化し、少数の機器で住宅全体を調整する低容量空調機器が普及したことから、従来の『部分間欠空調』から『連続空調』を前提とした性能水準を考える時代に来ている」と主張した。

そこで、HEAT20は、夏期と中間期を分けて考え、それぞれに適した技術手法を融合させる「夏期・中間期性能水準」を新たに策定した。開口部、壁の日射遮蔽対策、外気導入など、「建築力」の向上により、冷房負荷を削減する2つの外皮性能水準(G-A、G-B)を設けた。省エネ基準レベルの住宅比で冷房顕熱負荷を40%削減する「G-B」、同30%削減する「G-A」の2つの水準だ。 また、日射遮蔽や外気冷房(通風とは区別)などの具体的な技術についても説明し、特に窓の役割として光と熱のバランスを考慮した「空間照度」の概念を導入していることを紹介した。これらの内容を含む「窓の本」を2026年3月頃に刊行予定である。

G-A、G-Bの水準を達成するための対策は、「躯体の断熱強化により、壁からの日射などの熱侵入を抑える」、「窓まわりの付属部材を含めて開口部の日射遮蔽対策を強化する」、「空調設備に頼らず、窓を上手に使うことで外気冷房を導入する」の主に3つだ。

講演会で、設計部会(住宅技術評論家)の南雄三氏は、通風と外気冷房を区別して考えることの重要性を強調。外気冷房を、室内温度より外気温が低い時に微量な風速で室内に低温層を形成する方法として定義した。「通風が風圧差によって強い風を取り入れるのに対し、外気冷房は温度差換気によって微量な空気の流れをつくり出す。効果的な外気冷房のためには、各居室に少なくとも一つの窓が必要」とした。

「夏期・中間期の性能水準」策定の経緯、趣旨について講演を行う鈴木大隆 理事

また、設計部会(YKK AP)の児島輝樹氏は、冷房期の平均日射熱取得率(η AC値・イータエーシー値)が重要な指標になると指摘。外付けシェードなどを用いることで日射遮蔽を適切に行い、η値0.15程度を目指すことを推奨、外気温が25度以下の時に外気冷房を活用することが有効とした。

また、設計部会(東京理科大学 教授)の吉澤望氏は、「夏期・中間期性能水準」提案の前提として、光環境を整えることの重要性を強調。「窓からの光は眺望や開放感を提供するだけでなく、人の健康や生活リズムにも重要な影響を与える。従来の建築基準法では床面積に対する窓の面積比率や水平面照度が重視されてきが、実際の明るさ感覚には『空間照度』がより重要になる。HEAT20では空間照度50ルクスを確保することを推奨する。これを達成するための窓の可視光透過率は最低10〜20%が必要」とした。