New   2026.1.5

LIFULL HOME’S 2026年トレンドワード発表 住宅・不動産市場の最新動向と展望

 

26年のトレンドワードとして、「卒・タワマン所有主義」、「こちくら郊外」、「新築氷河期」、「0LDK」、「住まい探しもAI相談」の5つをあげた。住宅価格の高騰を背景に需要者に新たな動きが広がりつつある。

LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービスのLIFULLHOME︐Sが「LIFULLHOME︐S 2026トレンド発表会」を開催、26年に注目されるトレンドワードとして「卒・タワマン所有主義」、「こちくら郊外」、「新築氷河期」、「0LDK」、「住まい探しもAI相談」の5つを取り上げた。

住宅・不動産価格が高騰するなか、資産形成とステータスの象徴である「都心のタワーマンション購入」は「住宅すごろく」の一つのゴールでもあったが、市場価格が高騰する好機に売却し、よりコストパフォーマンスの高い物件に住み替える動きが広がっている。

一方、都心部での住宅価格高騰を受けて郊外の住宅需要が高まっているが、長時間の通勤がネック。そこで特急や新幹線が止まる駅、着席有料サービスある沿線の人気が高まっている。座って快適に移動でき、かつ広さや自然の豊かさ、割安さというメリットを享受できる「こちくら(心地良い暮らし)郊外」の選択だ。さらに、首都圏のマンションが一般的な収入層では手が届かない水準まで高まるなか、選択肢が著しく狭まる「新築氷河期」が訪れている。都市部における価格高騰は、新築・中古、マンション・戸建てを問わずマーケットを大きく変えつつある。また、価格高騰とともに一つのトレンドになっている「専有面積の縮小」は、これまでの常識であった「nDLK」の間取りを変える可能性もある。すでにリノベーションにおいて廊下や壁などを取り払った「0LDK」も出始めており、「今後、間取りのバリエーションとして、新築で出てくる可能性もある」(LIFULL HOME︐S総研・中山登志朗副所長)と指摘している。

首都圏で引き続く価格上昇
23区内では築25年が〝億の壁〟に

東京のマンション市場は、新築、中古ともに過去最高を更新し、「今後も低金利環境の継続や住宅需要の高止まりにより、都心部を中心に新築・中古とも価格上昇が続く可能性が高い」(宮廻優子研究員)という状況だ。

首都圏・東京23区
新築マンションの掲載価格
首都圏 中古マンション平均掲載価格

25年1~5月に東京23区で分譲されたマンションでLIFULL HOME︐Sに掲載された平均価格は1億4402万円で、港区、中央区、渋谷区、千代田区の4区が価格上昇を牽引している。一方で、23区内の平均平米単価は大きく5階層に広がっており、最高価格の港区(424万円)と最低価格の江戸川区(109万円)では300万円以上の差がある。

ファミリー向け中古マンションに絞り込んでも同様の傾向であり、新築から中古へ、中心から郊外へという動きにつながっている。ファミリー向け中古マンションの掲載価格は都心6区が1億7305万円と反響価格(ユーザーが問い合わせた物件)の1億1073万円と大きな開きがある。その他の区は8032万円であり、反響価格3600万円との差は2000万円超。東京都下は3600万円で、反響価格2939万円との差は700万円弱だ。

中古マンションの平均価格は、東京23区で1億429万円、東京都下でも3516万円に達し、いずれも前年からから大幅に上昇している。特に都心6区は1億6940万円と高騰が顕著だ。さらに23区内では、1億円超えが築25年未満にまで拡大。こうした価格高騰を受けて所有するマンションを売却、資産を現金化(利益を確定)し、よりコストパフォーマンスの高い物件に住み替える「卒・タワマン所有主義」が広がろうとしているわけだ。

広さ求めるファミリー層は利便性・快適性を求めて郊外へ

首都圏全体の新築一戸建ての制約件数は25年に入ってから増加、それにともなって在庫件数は減少し品薄な状態となっている。

こうしたなかで東京都の中古一戸建住宅の価格は、23区、都下ともに緩やかな上昇を続けている。25年11月のデータによると、東京23区の掲載価格は9172万円で、反響価格5721万円との差は3400万円ほど。一方、都下の掲載価格は3873万円で、反響価格2823万円との差は約1000万円だ。

東京都全体の中古一戸建住宅の平均掲載価格は6138万円で前年同月比115、7%と、中古マンションの同145、4%に比べれば比較的緩やかな値上がり幅であり、中古一戸建住宅の問合せが中古マンションを上回る傾向が出ている。

新築・中古マンションともに価格高騰が続き、子育てファミリー層が求める広さの物件購入が難しくなっており、価格が比較的安定し、広さも確保できる郊外の新築・中古の一戸建住宅へのシフトが起こっているわけだ。通勤利便性と快適性のバランスをとった「こちくら郊外」の需要が高まっているのである。「都心部で高額マンションの需要が増加する一方、郊外は中古・新築の一戸建住宅の需要が増加と、消費者ニーズが二極化している」(八久保誠子研究員)と分析している。

既存賃貸の賃料も上昇基調に
賃料改定しやすさで定期借家が増

賃貸住宅市場においても賃料上昇が顕著だ。25年11月の東京23区のシングル向き物件の掲載賃料は11万9139円と1月比で12、2%増と大きく上昇。ユーザーニーズを表す反響賃料は9万6914円と同3、5%増とそれほど上がっていない。ファミリー向き物件も同様の傾向で、23区の掲載賃料は24万4579円、反響賃料は17万8155円となっている。一方、都下を見るとシングル向きは6万5790円、ファミリー向きは11万3948円で上昇幅は大きくはなく、反響賃料もシングルが6万3397円、ファミリーが10万8267円と、掲載賃料と大きな乖離はない。

新しい動きとしては、23~24年は新築物件が賃料相場の上昇を牽引していたが、24~25年は既築物件でも賃料改定が進んだことだ。「これまで建築費上昇が賃料上昇の主要因であったが、修繕費など維持管理コストも上昇しており、既存物件のオーナーが賃料改定に動いた」(渋谷雄大研究員)とみられる。

ただ、すでに入居済みの場合、契約更新時の賃上交渉はオーナーの負担が大きい。こうしたなかで東京23区を中心に賃料が上げやすい、あらかじめ賃貸期間を定めておく「定期借家」が増加している。同社のデータによると、東京23区における掲載賃貸物件に占める定期借家の割合は、23年の5、9%から24年に7、1%、25年(1~11月)は9、5%と1割に迫っている。