New   2025.12.22

国産間柱材の枠組壁工法への適用を検証 東京木場製材協同組合が研究プロジェクト着手

 

東京木場製材協同組合は、枠組壁工法に、在来軸組工法の国産間柱材を活用する研究プロジェクトを進める。技術的検証や実棟の建設などの実績で機運を高め、最終的には法律の改正や技術基準の見直しにつなげていきたい考えだ。

枠組壁工法は、パネルを組み立て、壁、天井が一体となったモノコック構造の合理化工法だ。2024年は北米発祥のツーバイフォー工法が我が国で一般工法としてオープン化されてから50年の節目であった。2024年度の全住宅着工数に占める割合は12.1%と前年度比でプラス0.6ポイントになり、持家に占める割合は13.7%と過去最高値を更新するなど、近年存在感を高めている。ただし、施工基準や施工方法が詳細にルール化されているため、原則、2×4材や2×6材など寸法の決まった材料しか使用することはできないという制約もある。

一方で軸組工法の間柱は、日本全国の多くの製材工場で生産されており、乾燥・製造が容易である点などのメリットもあり、日本で最も調達しやすい建築材料ということができる。間柱材(45㎜×105㎜)と、枠組材(38㎜×89㎜)はサイズに共通性はないが、その間柱材を部材の種類が少なくて済む枠組壁工法で活用することができれば、応急仮設住宅など緊急時の需要増加などの解決策になる、との考えから研究プロジェクトをスタートした。また、木材は脱炭素社会に向けて世界的に需要が高まっている資源であり、需給により調達が不安定になる製品でもある。間柱材を枠組壁工法に活用することができれば、部材生産の裾野が広がり、国産材活用に寄与することができる。

長谷川萬治商店の館林工場の敷地内に、間柱材やその合わせ柱だけで構成する方法で事務所棟の建設を進めている

しかし現状では、技術的には間柱で枠組壁工法が実現可能であるものの、法律などにより進展が難しい状況にあることも事実だ。そこで東京木場製材協同組合は、東京大学大学院 農学生命科学研究科 青木謙治 教授と、金沢工業大学 建築学科 河原大 講師の技術指導のもと、「間柱材と枠組材の曲げ性能比較試験」「枠組材同士の釘接合部一面せん断試験」「間柱材と枠組材の枠組壁工法 耐力壁の構造性能比較試験」「間柱材を用いた合わせ柱の圧縮試験」など各種技術検証を進めている。実例を積み重ねることで機運を高め、最終的には法律の改正や技術基準の見直しにつなげていきたい考えだ。

そこで、間柱材を枠組壁工法ではないが実棟の第一ステップとして、同製材協同組合員である長谷川萬治商店の館林工場の敷地内に、在来軸組工法の基準に適合する範囲内で、柱として正角材柱(105㎜×105㎜)を使わずに間柱材(45㎜×105㎜材)やその合わせ柱だけで構成する方法で平屋の同社事務所棟の建設に着手した。建築基準法では在来軸組工法の柱の断面寸法の基準が決められているが、基礎を高くし、階高を抑え間柱の長さを短く抑える手法で、建築基準法の在来軸組工法に適合させた。2026年2月に完成予定だ。今後一般的な天井高でも実現できるよう、日本建築センター(BCJ)での評定取得を目指しており、今年度中に柱や壁の試験を実施する。

新築戸建て住宅市場が縮小していく時代に、既存の部材生産・流通の仕組みを有効活用する新しい挑戦として注目度が高まっていきそうだ。