Looop、スマートホーム事業を立ち上げ
電力×IoT・AI技術で暮らしの変革を目指す
Looopがグラモを子会社化、発電、新電力に次ぐ第3の柱であるスマートホーム事業に乗り出した。
電気の市場連動型プランと、AIを導入した端末を武器に、「いつの間にか生活を快適で便利、安全になる世界」を実現を目指す。
Looopが、発電、新電力に次ぐ第3軸としてスマートホーム事業に進出する。グラモ(東京都豊島区、後藤功社長)の株式を100%取得して完全子会社化、Looopでんきの市場連動価格プランと、グラモのホームIoT端末「9DOTs(ナインドット)」を組み合わせることで、家庭のエネルギーマネジメントを最適化するとともに、快適、便利、安全の向上を図る。
Looopは2016年にLooopでんきをスタート、現在、顧客は34万件、売上高500億円と、独立系の新電力では低圧電気の供給量はナンバーワン。さらなる成長を目指し2028年までに売上高1000億円、ユーザー数100万件の達成、新電力のナンバーワンという目標を打ち出した。大きな武器が市場連動型プラン。30分単位で料金単価が変わるもので、電気の使用を単価の安い昼間にずらすことで電気代が下がり、再エネ活用により環境にも貢献できる。ただ、課題となるのが、「自分で電気を使うタイミングをずらすのが面倒というユーザーも一定数いる」(藤田総一郎COO)ことだ。
いつの間にかお得な時間帯に電気の使用がシフトされ、自動的に最適な電気を使っている状態を作りだすこと、その実現に向けて必要となるのが、サービスを使っていると意識しないユーザーインターフェース、生活データを取得するデバイス、そしてデータをもとに最適化したサービスを提供するAIである。これらをあわせ持っていたのがグラモであった。
興味がない人は使わない
課題にAI採用で対応
グラモはスマートフォンなどの通信機器と連携可能なネットワーク接続型のリモコン「iRemocon」を核に、さまざまな機器を開発、提供してきた。
一方、課題となっていたのが「設定をいくら簡単にしても興味がない人は使わない」(グラモ 後藤功社長)という課題だ。この課題解決に向けて開発したのが、ホームIoT端末として日本で初めてAIエージェントを搭載した統合型ホームIoTプラットフォーム端末「9DOTs(ナインドット)」だ。インターホンモニター、ホームIoT、HEMSモニター、セキュリティ、見守り、生活サービスといった50以上の機能を一台に搭載した。
最も特徴的なのがAIエージェント「グラモン」で、多くの機能を誰でも利用することができる。「グラモン」がセンサー情報やインターネット情報を監視、必要に応じて居住者に対してさまざまな提案を行う。例えば、朝起きればシャッターを開け、テレビをつけ、天気や気温を教えてくれる。帰宅すると留守中に発生したイベントを教えてくれ、暗くなれば「電気をつけますか」と尋ねる。音声認識機能を搭載しており、音声で施解錠、電動シャッターの開閉などがすべて標準でできる。
後藤社長は「Looopとタッグを組むことで、いつの間にか生活を便利で快適にする世界を誰よりも早く実現できると確信している」と話す。
32年に100万台目指す
Looopは、スマートホーム事業において、2032年に「ナインドット」の累計導入100万台という目標を掲げた。デベロッパーや管理会社に向けた新築賃貸住宅を中心とした展開からスタート、将来的に分譲マンション向け、そして戸建住宅のBtoC向けと随時新しいデバイスを導入していく予定だ。同年のLooopでんきのユーザー数の目標は250万件だ。
「市場連動型プランとナインドットがタッグを組むと、さまざまな可能性が広がる」(Looop 藤田COO)と、新たな機能を開発していく。例えば、「グラモン」が「今日は11:30から電気代が安いので、洗濯を行います」と、どの程度節約できるかを計算して提案してくれる。生活者は、洗濯物を洗濯機に入れておけば良いわけだ。また、EVの充電機能も開発を進めている。スケジュールを「グラモン」に伝えれば、自動で安い時間帯の電気を使い、必要なだけ充電しておいてくれる。
さまざまな新しい機能を通じて、両社が目指すのは、電気の使用を最適化すること、そこにプラスアルファのサービスをつけることだ。自動で安い時間帯の電気を使うことができるのは、変動価格プランを持つLooopの強みだ。部屋が冷えすぎていたらエアコンを自動でセーブし、快適な温度をキープする。居住者はサービスを使用していることに気づかないうちにお得で快適な暮らしを実現することができるわけだ。さらに、安い時間帯の電気を使うということは、再エネを多く使うことにもなり、いつの間にか環境にも貢献していることになる。
また、「グラモン」が家のなかの行動データを取得、学習することで進化することで、色々なサービスをパーソナライズしてくれるようになる。「電気の使用はもちろん、保険、セキュリティ、家電の買い替えのタイミングかもしれない、ファッションなどにも広がる可能性がある」(藤田COO)と大きな可能性を秘めている。
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再エネの真価を引き出すため
暮らしを根本から変える必要がある
Looop 代表取締役社長 CEO
中村 創一郎 氏
世界では再エネを中心に据え、コストを大幅に抑えながら社会全体の電力システムの改革に成功している。一方、日本は、再エネの導入は頭打ちとなり、むしろコストは増大し、昼間に生む膨大な余剰電力は有効に活用されることなく捨てられている。これは技術的な課題だけではなく、我々の生活や社会の仕組みが変わっていないという証拠でもあると思っている。再エネの真価を引き出すためには、発電量を増やすだけではなく、家庭、社会全体、暮らし方を根本から変えていく必要があると考えている。
そのカギとなるのが家庭のエネルギーマネジメントシステムであるスマートホームだ。従来のHEMSは見える化を中心とした仕組みだが、社会全体の行動を大きく変えるには至っていない。
再エネを創る・届けるだけではなく、使いこなす時代において、Looopの電力事業の基盤と、グラモのAI・スマートホーム技術を掛け合わせることで、余剰電力の最適活用、需給予測、高度な制御を実現できる。省エネや節約にとどまらず、家庭の快適、安心、利便性を高めて人々の暮らしがより豊かになること、それを我々は提供していきたいと思っている。
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