大和ハウス工業/東京大学、住宅・都市再生の研究施設を新設
産官学が分野横断し研究、協業する場に
大和ハウス工業と東京大学が、「東京大学住宅都市再生研究センター」を新設した。
大和ハウス工業の寄付をもとに、現代の住宅・都市再生に関する問題解決に向けた研究に取り組む。
既存の住宅や都市を活かしながら、いかに持続可能なまちづくりをしていくか。日本や世界の国々が抱える大きな課題解決に向けて、大和ハウス工業と東京大学が、新たな研究組織「東京大学住宅都市再生研究センター」を立ち上げた。
同センターでは、現代の住宅・都市再生が抱える諸課題の解決に向けた研究に取り組み、住宅・都市再生に役立つ技術および制度の革新を先導することで、社会制度や政策等の課題解決を目指す。
東京大学は、自律的かつ持続的な創造活動を拡大するための改革の1つとして、大学独自基金(エンダウメント)の運用益を事業に活用し恒久的な財源とするエンダウメント型経営を推進している。今回新設する研究センターは、大和ハウス工業の10億円の寄付を元に設立したエンダウメント型研究組織となる。2014年に大和ハウス工業が同校に「ダイワユビキタス学術研究館」を寄贈していること、同社が2015年から注力する団地再生事業「リブネスタウンプロジェクト」の実績などから、センター設立の合意に至った。
具体的な取り組みとして、①住宅市街地や都市の再生デザインに係る各研究分野を横断し、新たな学術領域を形成、②住宅都市マネジメント分野の技術革新、③住宅都市の再生とマネジメントに必要な政策の構想と制度の設計に取り組む。当面は、郊外型住宅団地の再生を主なテーマとし、大和ハウス工業が推進する「リブネスタウンプロジェクト」を対象事例として取り上げ、知見を得ていく。同大先端科学技術研究センター共創まちづくり分野の小泉秀樹教授が初代センター長を務め、常勤2名、非常勤2名の研究員を雇う予定だ。大和ハウス工業からの人材派遣は現段階で予定していない。同社芳井敬一会長は「わが社は経験値があるため、研究のためにしっかりサポートしたい。人的支援にも協力を惜しまない」と語った。
発表会見に出席した東京大学の藤井輝夫総長は「このセンターでは、様々な課題解決に向けて、関連企業、国際機関、海外の研究機関とも連携し、分野横断的研究を推進していく。それによって住宅都市再生に資する技術、制度のイノベーションを先導、加速していく」と挨拶。大和ハウス工業の芳井会長は「我々は作った責任を果たすべく、2015年から住宅再生事業に着手した。団地再生に取り組む姿勢が評価された結果、産官学一体となった郊外団地再生検討委員会も設立され、社会課題の解決に向けて大きく動きだした。こうしたチャレンジの実績が今回の寄付につながっており、非常に光栄に思っている。このセンターでの研究開発は、今後の新しい住宅と暮らしの在り方を見出すプロジェクトになるだろう」と期待を寄せた。
初代センター長となる小泉教授は、「既に様々な領域で研究が進んでおり、芽が育ってきている。そうした様々な芽を組み合わせ、整理することで、新しい取り組みや制度がみえてくるのでは」と話す。「1つ1つの問題に対処するのではなく、気候変動や少子高齢化など様々な方面に対してポジティブになるような都市や住宅の在り方を検討するのが一番重要なテーマ。こうしたまちづくりの動きは、世界的に活性化し、競争し合っている状態。このセンターを立ち上げることで、日本から新しい革新を起こせるのではないか」と、抱負を語った。
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