New   2025.7.16

「GX ZEH」の定義策定へ 誘導基準に

分譲住宅でもZEH水準がスタンダードに

 

注文住宅だけでなく分譲住宅においてもZEH水準の省エネ性能がスタンダードになりつつある。一方、50年にストック平均でZEH水準の省エネ性能の確保の達成に向け、現行のZEHを超える省エネ性能を要件とした新しいZEHの定義策定に向けた国の動きも加速している。

(一社)環境共創イニシアチブが2024年12月に公表した「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業」の調査結果によると、新築戸建住宅におけるZEHシリーズ供給戸数は年々上昇し23年度に、9万7065戸となり、住宅着工に占めるZEH化率は27・6%(注文住宅40・2%、分譲住宅7・0%)。
また、ZEH基準(断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上)を満たすZEH基準化率は42・0%(注文住宅60・1%、分譲住宅12・5%)となった。

飯田GH、新築分譲戸建のZEH水準達成率100%に

注文住宅に比べて分譲住宅のZEH化率、ZEH基準化率は低水準にとどまっていることが課題であったが、ここにきて最大手の飯田グループホールディングスが25年4月以降に確認申請を取得した新築分譲戸建住宅において、ZEH水準の達成率が100%になったと発表するなど、風向きが変わり始めている。同社は、全国で年間約4万棟の分譲戸建住宅を供給している。22年4月以降は、供給する分譲戸建住宅全棟において、住宅性能表示制度の4分野(構造の安定・劣化の軽減・維持管理更新への配慮・空気環境)で最高等級を取得していた。今回、ZEH水準への全棟対応を達成したことで、省エネ性能においても強みを持つこととなった。今後も供給棟数日本一のスケールメリットを活かしながら高品質な住宅の提供に努めていくとする。

50年にストック平均でZEH水準
求められる、より上の誘導基準

一方、第7次エネルギー基本計画において50年にストック平均でZEH水準の省エネ性能の確保を目標に掲げ、30年度以降に新築される住宅はZEH水準確保を目指すとしており、今年4月に義務化された省エネ基準への適合レベルは30年までにZEH水準に引き上げられる予定だ。

現行のZEHの基準では、①断熱性能等級5以上の断熱性能、②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する、③再生可能エネルギーを導入(容量不問)、④再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減ことが必須となる。

ZEH水準が新築住宅の最低基準になりつつあるなか、さらに上を行く性能を持つ誘導的な住宅の姿を打ち出す必要があることから、経済産業省は24年度、ZEH・ZEH‐M委員会を開催し、ZEHの定義見直しについて検討を行い、新しいZEHの定義(戸建・集合)を作成した。30年代後半に広く普及が期待される住宅として、①50年の目標達成を牽引する省エネ性能 、②自家消費拡大措置を通じた住戸単位でのエネルギー自給率の向上 、③ZEH Oriented・ZEH-M Orientedの適用条件の見直し――の3つの観点から新しいZEH・ZEH-Mの定義を検討。現行のZEH・ZEH-Mを踏襲しつつ、違いが分かるようにするという目的を元に選定した結果、新しい定義の名称を「GX ZEH」及び「GXZEH-M」とする。

従来は狭義の「一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅」の意味で用いる場合に『ZEH』としていたが、新しい定義では、「GX ZEH」と表現し、GX ZEH+、Nearly GX ZEHやGX ZEH Orientedを含めた広い概念を表す場合は、「GX ZEHシリーズ/GX ZEH-Mシリーズ」と表記することで区別する。

GX ZEHは蓄電池、高度エネマネの導入が必須に


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