持ち家4割増、貸家5割増 4月の法改正を前に着工前倒し
3月新設住宅着工で駆け込み
国土交通省が発表した2024年度の新設住宅着工戸数は、前年度に比べ2.0%(約1.6万戸)増の81.6万戸となり、3年ぶりに増加に転じたことが分かった。3月着工の持ち家4割増と貸家5割増が全体を押し上げた。分譲住宅は2年連続減となったものの、持ち家が3年ぶりに増加して前年度の2ケタ減から立ち直し、貸家も再びプラスとなっている。
2024年の暦年ベースでは15年ぶりに80万戸を割り込んだ住宅着工戸数であったが、年度ベースでは一転して増加に転じた。
なぜ、暦年ベースで80万戸を割り込んだ住宅着工戸数が、一転して年度ベースでは3年ぶりの増加に転じたのか―。2025年3月の住宅着工戸数を見ると、その理由は明白である。
3月の住宅着工は39.1%増の8万9432戸と2月(2.4%増)に続いての増加となった。5月以降1月まで9カ月連続で減少が続いていたが、3月分で持ち直した形だ。
内訳は、持ち家が37.4%増の2万2867戸で3カ月ぶりの増加、貸家が50.6%増の4万2525戸で2カ月連続増、分譲住宅が22.8%増の2万3571戸で2カ月連続増とすべてで2ケタのプラスだった。分譲のうち一戸建て住宅は29カ月ぶりのプラスとなる23.3%増となっている。


この結果、24年度(24年4月~25年3月)全体の住宅着工は前年度比2.0%増(1万5792戸増)の81万6018戸と3年ぶりの増加に転じた。単月でみると増加は4月、2月、3月の3カ月のみ。
利用関係別にみると、持ち家が前年度比1.6%増(前年度11.5%減)の22万3079戸で3年ぶりのプラス。
貸家は4.8%増(同2.0%減)の35万6893戸で再び増加に転じた。35万戸を超えるのは平成30年度以来6年ぶり。
分譲住宅は2.4%減(同9.4%減)の22万9440戸で2年連続のマイナス。23万戸を割り込むのはリーマンショックの影響がまだ続いていた平成22年度(2010年度)以来14年ぶり。
分譲の内訳をみると、マンションが5.0%増(前年度12.0%減)の10万5227戸と再び増加したものの、分譲一戸建て住宅は8.5%減(同7.4%減)の12万2319戸と2年連続の減少。ただし、平成24年度から13年連続でマンション戸数を上回っている。
一方、地域別では、首都圏が1.6%増の29.1万戸、近畿圏が8.6%増の13.8万戸とともに増加に転じたが、中部圏は2.7%減の9.2万戸で3年連続減、そのほかの地域は0.9%増の29.5万戸だった。
ハウスメーカーは着工平準化を推進
国土交通省は、3月に新設住宅着工数が急増した理由について、「3月の着工数について、注文住宅、貸家、分譲戸建てでは、建築基準法および建築物省エネ法の改正による、25年4月からの4号特例の見直しと省エネ基準への適合義務化を見据え、着工を前倒ししたとの声がいくつかあった」と話す。
省エネ基準への適合義務化、4号特例の縮小により、申請手続きは煩雑化し、審査期間の長期化、また、高性能化によるコストアップにもつながると言われている。4月の法改正を前に、販売攻勢をかけ、着工を前倒し、新設着工の急増につながっているとみられる。
では具体的にどの事業者がどのように動いたのか。
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