ビスダックジャパン、在来軸組六工種パネル構法で事務所を建設
試験機導入で研究開発を加速、非住宅分野を開拓
ビスダックジャパンは、山梨県南アルプス市において事務所建設を受注。独自に開発した「在来軸組六工種パネル構法」で建設した。工期短縮効果などを訴求し住宅のみならず非住宅分野での採用拡大を目指す。
ビスダックジャパン(大阪府堺市、橋詰出社長)は2023年から、大阪公立大学の石山央樹准教授と共同で研究開発を進め、「在来軸組六工種パネル構法」を開発した。木質系面材、製材のシンプルな部材のみを組み合わせて高耐力を実現したタフボードや、独自開発の接合金物などを組み合わせ、在来軸組工法の六工種(床・壁・間仕切・天井・小屋・屋根)をパネル化し、パネルを組み立てることにより、一つの構法で構造躯体すべてを完成させることができる。壁用のパネルには、外壁下地材や開口部材を施工した状態で搬入することも可能。従来のパネル工法のパネルは、軸材の外側に金物が露出するため、搬入の際、平積みすることができず、運搬効率が悪かったが、「在来軸組六工種パネル構法」のパネルは、接合金物が軸材の中に内蔵され、露出しないように設計されており、平積みすることが可能で運搬効率を高められる。開発に携わる高島章氏は、「通常の在来木造に比べて工期を半分に短縮できるため、現在の職人の数と同数のまま受注高を倍増させることが可能になる」と話す。
こうした強みが支持され、これまでに東京都・伊豆諸島などの離島で、宿舎建設などの建設において「在来軸組六工種パネル構法」の採用実績がある。1度の海上輸送で済み、工期通りに簡単に短工期で建てられると引き合いが増えている。
今回、山梨県南アルプス市の機器メーカーが事業拡大の一環として敷地内に事務所(約15坪)を建設するにあたり、同社の「在来軸組六工種パネル構法」が採用された。離島以外の本島での採用は今回が初となる。当初、スチールユニットハウスで検討されていたが、規格品であるため、サイズや仕様が希望と合わずに、同社に相談があり採用に至った。大阪の同社工場でパネルを加工し、山梨へ輸送、現地組み立てを行った。11月6日の朝8時に建て方を開始、11時にはすべての壁パネルの組み立てを終え、夕方までには、屋根パネルを含めた躯体施工が完了した。また、15日に完了検査を終えた。通常の在来木造に比べて、完了検査までの期間を3分の1~2分の1に短縮できるという。
さらなる構法の進化に向け研究開発も進めている。25年4月、4号特例の縮小に伴い、木造2階建て、200㎡超の木造平屋建ては、新たに構造関係規定などの図書の提出が必要になり、確認申請の作業が煩雑化するとみられている。「在来軸組六工種パネル構法」の簡易的な構造計算のソフトを開発し、工務店などがよりスムーズに4号特例縮小への対応が可能になるように支援していきたい考えだ。また、(公財)日本住宅・木材技術センターの木造建築合理化システム認定の取得に向け申請作業を進めている。
4階建て以上の非住宅分野の開拓に向けて、自社の工場内に、引張り強度、圧縮強度、曲げ強度などを計測できる構造関連の試験機も導入し、予備試験を重ね開発のスピードアップを図っている。確実に予備試験で裏を取ってから本試験に臨むことができ、より迅速かつ効率的な製品開発が可能になる。まずは公共工事などでトータルコストの観点から競争力がある点を訴求し、採用案件を増やしていきたい考えだ。
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