東急不動産、木造とRCのハイブリッド構造の賃貸レジデンスを販売
賃貸住宅でも木造化、木質化による付加価値が波及か
賃貸レジデンスシリーズ「コンフォリア」から、シリーズ初となる木造とRCの混合造の「コンフォリア芝浦 MOKU」を販売する。
「コンフォリア」は、利便性のよい立地、安心できる空間、サステナビリティにも配慮した、一歩先の暮らしをコンセプトにしている賃貸レジデンスシリーズ。「コンフォリア芝浦 MOKU」(東京都港区)は、JR線の田町駅から徒歩9分、新芝南運河沿いに位置し、総戸数は63戸+店舗1区画。特徴は、シリーズ初となる木造とRC造のハイブリッド構造である点。1~8階までがRC造、9階がRCと木造のハイブリッド構造で、9階にある6戸のうち2戸が木造の住戸だ。
木造住戸は広さ約60㎡での1LDK。構造材として柱や梁に木材を使用しているほか、フローリングや壁の内装などにも木を使用している。構造体としては全体の20分の1程度が木になっているという。そのほか、特殊住戸として2階に約50㎡の1LDKでロフトや土間を設けた3戸を用意した。
価格は9階の木造住戸および2階の特殊住戸で50万~60万円程度を想定している。「周辺は分譲マンションが賃貸として貸し出されたものが多く、新築の賃貸マンションとしてはエリアの競合が少ない。価格についても周辺物件が坪2万円弱のため大きな差はないと考えている」(同社)。入居開始は11月からだが、コンセプトの斬新さもあり反響はあるという。
スギのテーブルやウッドチップエリアなど
木の存在感を身近に感じられる空間づくり
ほかにも、同物件は「木」を起点とした環境への取り組みに力を入れている。2階の共用ラウンジには、東京都檜原村で育てられたスギやヒノキを使用した大きなテーブルや、小さな子どもも遊べるウッドチップを敷き詰めた多目的空間を設置、また、近年のニーズに合わせて個室のワークスペースなども用意した。さらに、軒天、マリオン、外壁などの木質化も図り、ファサードには壁面緑化も取り入れている。また、運河沿いにあるという立地特性を生かし、東京海洋大学の佐々木剛教授を招いた運河浄化活動などの居住者向けのイベントも予定している。このような取り組みから、同物件はZEH-M Orientedや低炭素建築物認定も取得している。
東急不動産は、24年3月に竣工した学生向けレジデンス「キャンパスヴィレッジ生田」でも、木造とRCの混合造に挑戦している。同社は、今後の取り組み方針について、「具体的な物件予定は未定であるが、環境配慮を推進するなかで社内的にも木材利用に関する関心は高く、機会があれば木造には挑戦していきたい」(首都圏住宅事業本部 事業企画グループ)とした。木材利用の推進が進められ中大規模木造にも注目が集まるなか、賃貸レジデンスでもその波が広がりそうだ。
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