20/30年長期保証に対応した住宅かし保険制度をリリース “住宅保証機構”ブランドが与える安心感

住宅保証機構は新築20年/30年という長期保証に対応する住宅かし保険制度をリリースした。高耐久建材を採用するケースでは保険延長時の必須メンテナンス工事が免除されるなど、魅力ある商品となっている。

国土交通大臣指定の「住宅瑕疵担保責任保険法人(以下、「保険法人」)」である住宅保証機構(以下、「機構」)が「新築20年/30年保証向け保険制度」の取り扱いを開始した。住宅取得者に対して20年/30年の長期保証を行う事業者に向けて創設した制度だ。

この制度を使うことで、住宅事業者は自社の長期保証を「国土交通大臣指定の保険法人による住宅瑕疵担保責任保険(以下、「住宅かし保険」)に裏付けされた長期保証です」と安心をアピールすることができる。

新築住宅マーケットがシュリンクし、競争が激しくなるなか、差別化を目的として新築時に20年や30年の長期保証に取り組む事業者が増えている。

しかし、「住宅かし保険」は新築時から20年以上の一気通貫のものは認可されておらず、10年ごとの延長となる。機構が提供している「まもりすまい保険」も同様だ。つまり、20年/30年の自社保証を行っていたとしても、その裏付けとなる保険は新築時から10年が通常の保険の限界であった。住宅事業者からの「どうにかならないか」という声に応えて開発した制度が「新築20年/30年保証向け保険制度」である。

調印式の写真をホームページにアップし「長期保証推進優良事業者」の信頼をアピールする住宅事業者も(右:中商 中島剛 代表取締役社長、左:住宅保証機構 長谷川貴彦 代表取締役社長)

認定した優良事業者が活用
高耐久建材活用でメンテ工事免除も

同制度は、住宅事業者が10年後に延長保険に加入する旨の「新築住宅長期保証協定」を機構と結び、機構は協定を結んだ住宅事業者を「長期保証推進優良事業者」として認定する。認定事業者が新築住宅供給時に「新築20年/30年保証向け保険制度」を申し込むことで新築の「まもりすまい保険」の活用を開始、10年経過時に協定に基づき所定の手続きを経て10年間の保険期間を延長するという流れだ(30年保証は、20年経過時に再度手続きを行う)。

この仕組みにより新築当初から「住宅かし保険に裏打ちされた20年/30年保証」と謳うことができるわけだ。

この10年・20年経過時の保険期間延長時に必要となるのが現場検査(万が一、劣化が大きく進行している場合には要補修)とメンテナンス工事だ。原則、各部シーリング工事、屋根の板金部分の表面塗装工事、外壁全面の表面塗装工事、木製サッシ・木製部分の塗装工事のすべてが必要で、20年目には加えてバルコニー防水の再施工も求められる。

この制度の大きな特長の一つとなるのが、前述の必須メンテナンス工事を免除できる仕組みがあることだ。

機構がリスト化している高耐久建材を使用しているケースでは「メンテナンス工事免除申請書」を提出することで機構が「長期保証適合住宅証明書」を発行、必須メンテナンス工事の免除が新築時に確認される。新築時に耐久性の高い建材を使うことでイニシャルコストこそかかるものの、10年・20年後のメンテナンスのコストや手間を省くことができる。こうした高耐久建材の採用が拡がれば、将来的には高品質な住宅づくりの誘導も期待できる。

住宅保証機構がリスト化している高耐久建材を使用した場合に発行する「長期保証適合住宅証明書」
住宅保証機構と協定を結んだ際に発行する「長期保証推進優良事業者認定証」。認定を受けた優良事業者が「新築20年/30年保証向け保険制度」を申し込むことができる

40年余の実績や保険法人の信頼性が強み

この制度をリリースしたところ、想定以上の反響があり、「住宅事業者の長期保証に対するニーズの高まりにフィットした」(長谷川貴彦代表取締役社長)と見ている。その背景に機構に対する安心感があることは間違いない。

機構のかし保険事業は、(財)性能保証住宅登録機構時代を含めると40年余に渡り、住宅事業者をサポートしてきた。住宅品質確保法等の制定に協力するなど行政と密接に連携しながら、保険をはじめとする住宅に関連する幅広い知見やノウハウに対し住宅事業者から高い信用力を得ている。

特に40年余の取り組みで築き上げられた損保会社との信頼関係をベースとした丁寧で誠実な事故対応には〝いざという時に安心なのはやはり住宅保証機構〟と高い評価を得ている。

どんな企業でも20年、30年先となると経営状況が悪化するリスクがゼロとは言い切れないが、機構をはじめとする保険法人は、万が一の経営不安時にも、国土交通省の監督のもと保険契約を他の保険法人に引き継ぐルールが法律上定められている。20年/30年保証のサポートとして、サポート提供主体の倒産時にも利用者からみて不安がないのは重要なポイントだ。

7月の同制度のリリース以降、引き合いは数百社に達しているという。すでに「新築住宅長期保証協定」を結んだ住宅事業者のなかには、調印式を行いたいという要望も少なくなく、その写真を白社のホームページに掲載して、信頼性をアピールする事業者も出てきている。

機構は、同時期に「まもりすまい延長保険(エンドレス)」もリリースしている。新築後20年目までだった延長期限を撤廃し、10年毎の点検+メンテナンス工事を行うことで延長保険をエンドレスで延長可能とするもの。これら新たな保険を組み合わせることで、住宅事業者のさまざまなニーズに対応することができよう。

居住者の長期保証に対するニーズの高まり、住宅事業者の差別化戦略のなか「長期保証のサポートは契約者保護の枠組みが整備されている保険法人が貢献すべき分野だ。特に〝安心感〟で高い評価を頂いている当社は、現場の声に耳を傾けながらこうした分野での商品開発でもこれまで以上に安心感を提供していきたい」(長谷川社長)と、今後の展開への意気込みをみせていた。

住宅保証機構
TEL:03-6435-8870
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