New   2024.11.6

LIXIL、アルミリサイクルに関する取り組み報告書を公表

業界唯一となる「アルミ鉱さい」の再資源化などを記載

「アルミリサイクルに関する取り組み報告書」を公表し、同社のアルミリサイクル技術の現在地を報告した。アルミ鉱さい、水酸化アルミスラッジなど先進的な技術開発についても記載した。

LIXILは、1998年に前身であるTOSTEMアルミ材料工場でアルミリサイクル技術の研究を始めて以来、25年にわたってアルミリサイクルに取り組んできた。例えば、09年から12年までの3年間、早稲田大学などと共同で、使用済みのアルミサッシから不純物を取り除く選別技術の研究を行っている。

材料事業部 池上直樹部長

そうしたなかで、同社は2022年12月にはリサイクルアルミ材を70%利用した低炭素アルミ形材「プレミアル R70」を発売、23年10月からはリサイクルアルミ100%の「プレミアル R100」の物件対応を開始。これまでのアルミリサイクルにおけるノウハウや、スクラップ選別の技術構築を土台にしたサプライチェーンの確立により、昨年度のリサイクルアルミ使用率は78%を達成した。プレミアルシリーズは国内3工場に加え、タイとベトナムの2工場でも生産しているが、海外での反響は日本以上だとし、大手メーカーや不動産などと話が進んでいるという。また、主にビル建材などでの用途を想定して開発した「プレミアルシリーズ」であるが、自動車など新たな分野からも注目を集めているそうだ。

クローズドループリサイクルの技術が確立
将来的には水平リサイクルのエコシステムも

今回、独自の「クローズドループリサイクル」を行うための技術が確立したとして、報告書を公表した。クローズドループリサイクルは、使用済みの自社製品から回収した素材を、自社製品に再使用・再利用すること。報告書では、アルミ形材だけにとどまらず、アルミを溶解する際に発生する酸化物(ドロス)のうち、再処理できずに産業廃棄物となっていた「アルミ鉱さい」の再資源化や、アルミの表面着色時に発生する「水酸化アルミスラッジ」の有価物化についての取り組みも公表されている。アルミ鉱さいは、水にぬれると発熱やアンモニアガスが発生するため、取り扱いが難しいが、同社はアンモニアガスを前処理し、アルミ鉱さいを溶解することで不純物をなるべく取り除いた水酸化アルミを析出する技術を業界で初めて確立、エコカラットの原料として再資源化できることが確認できているという。アルミスラッジは、他企業とともに有価物化する仕組みを構築。消石灰と混合してごみ焼却時に発生する有害物を除去して無害化するものとして複数自治体で活用されている。産業廃棄物を減らしながら、ごみ焼却時の有害物質を無害化するという環境保全にも貢献する。

LIXILはアルミリサイクルの技術開発を進める

また、新地金を購入する場合には、可能な限り、再エネで生産されCO2排出量の少ないグリーンアルミを調達するようにしているという。

現在は、セブンイレブンなど一部の事業者と、改装時に回収したアルミをリサイクルしてつくった形材を新店舗に採用する水平リサイクルのエコシステムを検討している。

報告書の公表に合わせて開催したメディア座談会において、LIXIL Housing Technology材料事業部長 池上直樹 氏は、「発生量が多いため、まずは『アルミ鉱さい』と『水酸化アルミスラッジ』から技術開発を進めたが、完全リサイクルに向けて他の物質についても同じように有効利用できるような研究を進めていきたい」とした。